ドラッグストア薬剤師へ転職の前に知っておきたいことは?



今や、薬剤師の転職先の一角となったのがドラッグストアです。高いお給料や、より多くの患者さんと接することができる職場環境のため、進んでドラッグストアに転職する薬剤師も少なくありません。

薬学部生の就職先でも7%がドラッグストアに就職をしています。これは、これは薬学部生の就職先として3番目に高い先です(1位は薬局、2位は病院)。


その一方で、転職先としてのドラッグストアについて良くない話も時々聞きます。仕事がハードワークであるとか、薬剤師としての「仕事のやりがい」を感じられないといった意見です。

そこで、薬剤師がドラッグストアを転職先として検討する上で事前に知っておきたいことについて、紹介したいと思います。是非参考にしてください。


ドラッグストア薬剤師の職場・仕事内容について

ドラッグストアとは?

ドラッグストアと言っても、薬剤師の勤務先は2種類に分けることができます。一つずつ見ていきましょう。

1.ドラッグストア(=OTC販売)

一つは、皆さんも知っている文字通りの「ドラッグストア」です。風邪薬やサプリメント、健康食品、日用品(洗剤・トイレットペーパー・歯磨きなど)、食用品(水・お菓子)、化粧品など販売しているお店です。

ただし、薬剤師の求人情報ではドラッグストアという名称よりも、「OTC販売」という職種で紹介されることもあります。OTC販売も、勤務先はドラッグストアですので同じ意味です(なお、以後はドラッグストアという名称で統一します)。

2.調剤薬局併設ドラッグストア

こちらは最近増えてきた店舗形態で、ドラッグストアの店内に調剤薬局が併設しているタイプのお店です。患者からすれば、病院で処方してもらったクスリを受け取ることもできるし、買い物もできます。

単なるドラッグストアを調剤薬局併設型にすることで、店舗あたりの売上は平均2割増えるそうで、ドラッグストア大手各社とも店舗の転換を急いでおり、今後も増加が見込まれています。現在でも薬剤師のドラッグストア求人の6~7割は、この調剤併設型です。


ドラッグストア薬剤師の仕事内容は?



次にドラッグストア薬剤師の仕事内容について見ていきましょう。

1.OTC医薬品の相談・提案・販売

一つは、OTC医薬品やサプリメントの相談・提案・販売です。なんとなく熱っぽくて咳も出るけど、病院に行くほどではない。市販の風邪薬で治したいけど、種類があり過ぎてどれにすればいいか分からない。

といったような質問に対して、お客さんの症状(熱っぽい・咳が出る)や状況(会社を休めない)に応じて、市販の医薬品を提案します。


医薬品以外にも、サプリメントや健康食品(青汁など)についてもお客さんから相談を受けることもあります。たとえば、ダイエットサポートサプリはダイエット効果が見込める半面、人によっては体調不良を引き起こすリスクもあります。

お客さんの健康状態を確認した上で、サプリ以外の健康食品を提案することもあります。

2.店舗の雑務(レジ打ち・品出しなど)

一言で言えば、店舗の雑務です。たとえば、日用品(トイレットペーパーや入浴剤など)のレジ打ち、日用品を棚に陳列、店内の掃除、倉庫から店舗への品出し、などです。


人件費の高い薬剤師はこうした雑用はするべきではない、という意見もあります。ですが現実問題として、店内が非常に混雑してくれば、薬剤師もドラッグストア内の一スタッフとして駆り出されます。

日常業務のなかで、こうした雑用をどの程度やらされるのかは会社や店舗の方針によって違ってきますが、大体はかなりの割合で雑用をやらされるはずです。

3.調剤・服薬指導(調剤併設型のみ)

これは調剤併設型ドラッグストアのみの話ですが、調剤・服薬指導・薬歴管理といった仕事です。つまり、調剤薬局と同じ仕事ですね。

仕事のうち、調剤がどの程度の割合を占めるかは店舗の方針や、会社(ドラッグストア)の方針によって違います。調剤併設店でも、雑用を任されることもありえるので、その点は注意してください。


ドラッグストア薬剤師のメリット・デメリット

ドラッグストアの薬剤師求人の魅力・メリット



ここでは、ドラッグストア薬剤師の仕事のやりがいや魅力について紹介します。

1.数多くの患者さんの健康相談に乗れる

病院や調剤薬局でも患者さんに服薬指導をすることはありますが、それに比べても段違いに多い数のお客さんからOTCの相談を受けるのが、仕事の特徴の一つです。

また単に客数が多いだけでなく、病院や薬局は病気(クスリ)の相談を受けるだけなのに対し、ドラッグストアでは健康全般についての相談を受けることもあり、人と接することが好きな方は一層やりがいを感じられます。

2.給与で好条件の求人が多い

魅力の2つ目は、好条件の求人です。実際、ドラッグストア薬剤師の求人条件は他の職種(病院・調剤薬局)に較べても際立っています。

地域や店舗(会社)によって違いますが、正社員の年収は450万から600万の求人が多く、経験者限定ですが650万円の年収も珍しくありません。パートは1800円から2500円の時給が一般的です。

転職先として病院の年収で500万代を探すのは難しく、調剤薬局でも600万代を探すのは簡単ではありません。転職先に企業を入れても、年収600万以上もらうには前職でそれなりの経験が必要です。


ちなみにこの傾向は新卒の薬剤師についても同様で、新卒薬剤師の初任給は平均して30万円以上です。薬局の初任給が24~28万、病院が20~24万、製薬会社のMRが24~26万なのと比較して、いかに好条件なのかよく分かります。

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3-3.求人が多く転職しやすい

これは仕事の魅力というより求人の魅力といった方が適切かもしれませんが、ドラッグストアは慢性的な薬剤師不足のため、いつも募集を掛けています。このため、ドラッグストアには転職しやすく(しかも好条件で)魅力的な求人先です。


ドラッグストア薬剤師としてのデメリット

先ほどは、ドラッグストア薬剤師の良い面ばかりを取り上げましたが、逆にデメリットと言える部分について紹介します。

1.利益優先主義で薬剤師としてジレンマを感じる

以前はドラッグストアでやらされる雑用に不満を理由に、転職する薬剤師も少なくありませんでした。

ですが、最近ではドラッグストアの仕事内容も薬剤師の間でも広まり、こうした雑用を覚悟の上で転職(ないし就職)する薬剤師が増えているため、雑用を理由に退職する方は以前より減りました。

しかし、それでも現場の薬剤師がジレンマに感じるのは、ドラッグストア特有の利益主義です。


先ほど、薬剤師がOTCの提案・販売をする仕事を説明しました。本当にお客さん(=患者さん)の立場に立つなら、お客さんの症状にあった医薬品を提案・販売すればよいだけです。ですが、各種のOTCは商品によって実は利益率が違います。

お店としては少しでも利益を伸ばしたいので、薬剤師にも利益率の高いOTCを勧奨・販売するように指導します。


こうした方針は会社や店舗によって違いますが、薬剤師にノルマを課す会社もありますし、OTCの売り上げが薬剤師の翌年の給料に色濃く反映させる会社もあります。

すると、現場の薬剤師としても意にそぐわないOTCをお客さんに薦める場面も出てきます。

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薬剤師の転職体験談(5):ドラッグストアから製薬会社への転職

もちろんすべてのドラッグストアがこうした利益優先主義だけで運営されている訳ではありませんが、OTCの販売に意義を見出して入社したのに、会社の利益優先主義に幻滅して退職する薬剤師が意外に少なくありません。

2.「薬剤師のスキル」が磨けない

先に書いた通り、ドラッグストアの薬剤師は医薬品販売員や雑用係としての側面もあります。

このため、調剤や処方箋の読み込み、服薬指導・薬歴管理・疑義紹介といった、病院・薬局にありがちな仕事に関わることができず、いわゆる「薬剤師としてのスキル」を磨けないのが難点です。

もちろん、調剤併設店であればある程度のスキルは磨けるでしょうが、いつも調剤業務に関われる保証はありません。


若い薬剤師にありがちなのですが、新卒でドラッグストアに就職して数年後に薬学部時代の同期と飲み会をしたときに、病院や薬局に就職した薬剤師の仕事内容を聞いてもさっぱり理解できず、自分の立場に危機感を覚えるという話です。

3.クレーム対応が少なくない

もちろん、病院や薬局にもクレーマー客(患者)はいます。ですがドラッグストアの場合、接する客が多い分、クレーマー客に会う回数も自然と増えます。

加えて、病院や薬局に較べてドラッグストアは敷居が低いことも、クレーマー客を増やす要因になります。

それでもクレーマー客の割合はごく少数ではありますが、クレーマー客との対応を気に病んで退職する薬剤師もいます。

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薬剤師の苦情・クレーム対応について


<ここまでのまとめ>

  • ドラッグストア薬剤師の仕事は、OTCの相談・販売や店舗事務
  • 調剤併設店では調剤業務もあり、こちらの求人が増えている
  • ドラッグストア薬剤師求人は給与が高く、また転職しやすい
  • 仕事のやりがいは、多くの患者の健康相談に乗れること
  • ドラッグストアの利益主義に嫌気がさす薬剤師もいる


薬剤師ドラッグストアへ転職する前に、注意しておきたい点

ドラッグストア薬剤師の求人の特徴



給料は高いが伸びは期待できない

繰り返しになりますが、正社員の年収は450万から600万の求人が多く、経験者限定では650万円も普通にあります。

ですが、給料の伸びについては期待しない方がよいでしょう。もちろん、調剤薬局でもその傾向はありますが、ドラッグストア薬剤師の給料はさらにその傾向が強いです。


つまり言葉は悪いですが、ドラッグストアは高い給料で薬剤師を引き付けるけど、その後お給料が増える見込みは少ないということです。

ですので1~2年単位で働くならドラッグストアもオススメですが、長く(たとえば5年以上)働くことを考えるなら調剤薬局の方が有利、ということもありえます。


ちなみにですが、(民間の)病院薬剤師の場合、給料の伸び率自体はドラッグストアより上ですが初任給があまりに低いので、仮に長く働くにしても、給料だけで見ればドラッグストアの方が有利な場合が多いです。

休みが意外に少ない

調剤薬局や病院に較べて、休日が少ないのも求人の特徴です。とはいえ、休日が少ないのは病院薬剤師も一緒でしょ?と思う方もいるかもしれませんので、下記をご覧ください。

ある大手の薬剤師支援会社で求人をかけている、職種別の年間120日以上の休みがある求人の数です(正社員のみ)。



上のデータから分かるのは、年間120日以上の休日がある求人の割合は、ドラッグストアが最も少ないという点です。もちろん、このデータをもって「ドラッグストアより病院の方が楽だ」と主張するつもりはありません。

病院薬剤師のハードワークぶりは有名で、夜勤もありますし、長時間労働でカラダを壊す方も少なくありません。仕事のキツさだけで言えば、ドラッグストアより上でしょう。


それでも上のデータから分かるのは、ドラッグストアの方が総じて休みを取りづらいという傾向です。これは、ドラッグストアがその性格上、毎日お店を開いているため、そこで働くスタッフ(薬剤師も含む)も休日を取りづらいということでしょう。

ですので、仮にドラッグストアでしっかり休日を確保したいなら、求人を検討する段階でよく確認する必要があります。

調剤併設でも調剤の仕事ができるとは限らない

調剤もOTC販売も両方やりたいとドラッグストアに転職しても、首尾よく両方できるとは限りません。というのも配属先の店舗によってはOTC販売しか扱ってないケースもあるからです。

今後増加が見込まれる調剤併設型ですが、大手ドラッグストアチェーンの場合、自分の意に反した配属をさせられることもありえます。

大手の方が総じて待遇は良い

これはドラッグストアだけでなく調剤薬局についても言える傾向ですが、大手の方が給与待遇面でも未経験者に対する支援制度でも充実している傾向にあります。

加えて大手の場合は店舗数も多いので、仮に今働いている店舗で人間関係が悪くなっても、他の店舗に移ることで人間関係がリセットされる利点があります。

ドラッグストア薬剤師として求められる資質は?



以上、ドラッグストアの仕事内容や求人条件の特徴について見てきました。これらを踏まえ、ドラッグストア薬剤師として働く上で求められる資質について紹介します。

高いコミュニケーション能力

まず大事なのはコミュニケーション能力です。OTCの提案・相談が大事な仕事の一つと書きましたが、その際にお客さんから症状や状況をいかに引き出せるかが大事です。

ですので、単にクスリの知識が十分なだけでなく、質問力や対話力が重要になってきます。


加えて、日々の笑顔が大事です。やはり、普段から無愛想にしている薬剤師にはお客も相談したくないですし、お店の評判悪化にもつながります。ドラッグストア薬剤師は同時に接客業でもあることを念頭に置くべきです。

仕事での(ある程度の)割り切り

先ほど、お店の利益優先主義にジレンマを感じる薬剤師を紹介しました。ですが、社会に出ればどんな職業でも、こうした「汚い部分」は存在します。問題は、いかにそうした汚い部分と折り合いを付けられるかです。

たとえば、会社側の利益優先志向にある程度は配慮しつつも、お客の立場に立った提案はある程度は可能なはずです。そうした折り合いというか割り切りがドラッグストア薬剤師には求められるでしょう。

(ある程度の)体力

先にも書いた通り、意外に休日が少ないのもこの仕事の特徴です。ということで、ある程度の体力は要求されます。

もちろん、正社員としてフルタイムで働くのではなく、週3日程度にする働き方も可能なので、ご自身の体力(や稼ぎたいお給料)と相談するとよいでしょう。


ドラッグストアへの転職の注意点は?


年収(や時給)の高さだけに注目してはダメ

これまで見たきた通り、ドラッグストアや薬剤師の求人市場でも好条件が目立ちますが、それだけに気苦労も少なくありません。

もし求人の好条件だけに惹かれて転職しても、後々で苦労するのは目に見えています。ですので、自分にとってどんな価値観が一番大事か改めて考えてみるとよいでしょう。


お給料だけを考えればドラッグストアが一番かもしれませんが、もし仕事のやりがいを一番に置くなら別の職種の方がよいかもしれません。

ドラッグストアへの転職は後からでも出来る

これは若い(20代)薬剤師へのアドバイスですが、ドラッグストアは薬剤師不足ですので、年を取ってからでも転職はできます。ですが、薬局や病院は一定年齢を超えてからの転職は難しくなります(病院は特にそうです)。

もし給料に対するこだわりがそれほどないなら、若いうちは薬局や病院勤務を経験しておくのもよいかもしれません。

週休2日制には要注意!

薬剤師の求人情報で特に注意してほしい用語が、この「週休2日制」です。週休2日制というと、毎週休みが2日ずつあると勘違いする方もいるかもしれません。ですが、

週休2日制とは、1ヶ月の間に週2日の休みがある週が1度以上あること

です。ですので、1ヶ月のうちに一度だけ週2日の休みがあり、残りの週は1日しか休みがないかもしれません(というかその可能性が高い)。毎週休みが2日ずつあると勘違いしていたら、最低でも月3日は余分に働くことになります。


ちなみに、この週休2日制と区別される用語としてあるのが「完全週休2日制」です。この場合、週に2日は確実に休みがありますが、土日や祝日が休みになるとは限らないので、その点も注意が必要です。

なぜ、ここで改めて週休2日制を強調するかというと、ドラッグストアの求人ではこの「週休2日制」の求人が非常に多いからです。もし週休2日制の意味を勘違いして転職したら、後日非常に後悔することになるので、特に気を付けてください。

店舗異動も気を付けて!

ドラッグストアは店舗数も多いことから、自宅から通いやすい店舗への勤務を希望する方も少なくありません。ただし求人によっては、同じ会社の他店舗への異動を命じられる場合もあります。

もし、どうしてもその店舗だけでしか働きたくなったら、応募の段階で確認するとよいでしょう。

<ドラッグストアへの転職のまとめ>

  • 年収は450万円~600万円前半、経験者なら650万円以上もあり。
  • 給与が高いが、仕事のやりがいを感じらず、店の利益主義に悩む薬剤師は少なくない
  • 薬剤師としてのスキルが磨けず、店舗雑務も少なくない(ただし調剤併設店は別)
  • 休みは少なく、基本的にハードワーク
  • ドラッグストアへは後からでも転職可能。若いうちに転職するのは止めた方がいいかも


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