服薬コンプライアンスとは?



服薬コンプライアンスとは薬の服用ルールに従うこと、服薬アドヒアランスとは患者さんが積極的に薬物治療に参加することをいいます。

これまで患者さんは服薬コンプライアンスを遵守する受け身の存在でした。しかし、近年は患者さんにも服薬アドヒアランスが求められる流れになっているのです。


服薬コンプライアンスとは

『コンプライアンス(compliance)』という言葉には「規則にしたがう」「ルールを守る」という意味があります。例えば「企業コンプライアンス」といえば法令や社内規定を遵守することで、法律や法令などのルールを守ったり、社内の規則にしたがって行動することを指します。

服薬コンプライアンスといった場合は、「薬の服用ルールを守る」「服薬の規則にしたがう」という意味で使用されます。

患者さんが適正に服薬を行なっていれば「服薬コンプライアンスが良い」、服用法を守っていなければ「ノンコンプライアンス(服薬ルールにしたがわない)」となるわけです。

主な服薬コンプライアンス



服薬コンプライアンスで代表的なのが「用法・用量」です。医薬品の服用には使用方法や使用量が定められています。「お薬を1日3回・3錠を食後に飲む」と決められていれば、そのルールを守って服用するのが服薬コンプライアンスとなります。

患者さんは病院やクリニックで医師や薬剤師から服薬の決まり事を説明されたり、薬局で調剤薬を受け取るとき薬剤師から服薬指導を受けたりしています。また薬袋にも「1日3回・食後・7日分」や「1回2錠服用」などと記載され服薬コンプライアンスのためのルールを知ることができます。


そのほかの服薬コンプライアンスとしては、「水またはぬるま湯で飲む」や「飲み忘れをしない」「定められた以上に飲まない」「適正な場所に保管する」「有効期限内に服用する」などが挙げられます。

患者さんがこれらのルールを守って薬を服用することが「服薬コンプライアンスが実現されている」ということです。


現在取り組まれつつある服薬アドヒアランスとは



これまでの服薬コンプライアンスに対し、最近、提唱されているのが「服薬アドヒアランス」です。

『アドヒアランス(adherence)』には「支持する」「堅持する」という意味があり、患者さんからの服薬への支持や堅持を指しています。


具体的には患者さんが医師とコミュニケーションをしながら薬剤や用法・用量を選んだり、医師や薬剤師から提示された薬剤や服薬ルールを理解したうえで積極的に薬を使用するのが「服薬アドヒアランス」です。

ただし日本の医療の現状では、患者さんが医師と相談しながら薬剤や用法・用量を選ぶのは困難な部分もあります。現実的には患者さんが服薬の意義を理解して納得し、自ら積極的に治療効果を向上するための服薬をするという行動が「服薬アドヒアランス」になると解釈できるでしょう。

服薬アドヒアランスの取り組み

患者さんの服薬アドヒアランスを向上させるために、次のような取り組みが行なわれています。


・医療従事者と患者さんの関係を良好に

服薬に関して医療従事者と患者さんが目標を共有できるような関係つくりを目指します。患者さんは医師や看護師、薬剤師などにしたがうのではなく、治療の目標や経過を共有して取り組むという考え方です。

薬に関して患者さんが医療従事者に気兼ねなく質問したり、相談できるような良好な関係を築くことが重要です。


・患者さんが服薬情報を積極的に入手

患者さんは自分が服薬する薬について積極的に情報を入手し、その情報を有効に利用することが求められます。自分が何のために服薬するのかを理解し、薬の服用を円滑に継続するために日常生活での工夫をすることも必要です。

薬に関する不明な点を、患者さんが積極的に医師や薬剤師に質問できる環境つくりも必要になります。


・服薬遵守の向上と生活との調和を図る

患者さんは服薬コンプライアンスを守るだけでなく、薬の必要性を理解し納得して服薬することが大切です。理解や納得のために医療従事者が気軽に相談に応じたり、患者さん自身が服薬を自己判断で止めるようなことがないようにします。

服薬が自然に生活の一部になるよう、家族のサポートを受け入れる心構えも求められます。

服薬コンプライアンスとアドヒアランスの違い

服薬コンプライアンスとは、患者さんが医師や看護師、薬剤師から指示された服薬ルールを守ることです。特に服用する薬について理解したり納得することが強く求められるわけではなく、決められたように服薬することが重要となります。

服薬アドヒアランスの考え方は、患者さん自身が薬について情報を自ら積極的に入手し、医師や薬剤師と話し合って目標を共有するとしています。医療従事者も同じく積極的に患者さんの相談に応え、お互いが協力して治療のための薬の有効性を高める努力をしていきます。


2001年にWHO(世界保健機関)は服薬に関して「コンプライアンスではなくアドヒアランスを推進する」という方向性を示しました。コンプライアンスは「患者さんが治療者の決定にしたがうもの」であり、アドヒアランスは「患者さんが自ら治療に納得し参加するもの」であるとしています。


患者さんが薬を正しく飲むために薬剤師ができること



薬剤師は常に患者さんに適正かつ継続的に薬を服用してもらうために努力しています。しかし、患者さんのなかには薬を飲み忘れたり、飲むのを止めてしまう人がいるのも事実です。

こうした患者さんが薬を正しく服用するために薬剤師ができることとは何なのでしょうか?

指導ではなく対話を重視

服薬指導という言葉は、薬剤師による一方的な説明という印象を患者さんに与えがちです。ひと昔前までは「お医者さんは偉い存在」「看護師の言うことに従うべき」と考える患者さんがいましたが、薬剤師も似たようなイメージを持たれることがあります。

服薬アドヒアランスの考え方では、薬の服用について指導をする場合でも、一方的な押し付けにならないよう患者さんとの対話を持つことが求められます。必要とされる項目を箇条書き的に説明して済ますのではなく、患者さんの話を聞いて応えるという姿勢が必要です。

患者さんの事情の聞取り

服薬には一定の決まりがあります。薬剤師がある薬ついて「コップ1杯のお水で」と説明すると、患者さんは喉が渇いていないのに無理をしてまで大きなコップ1杯の水で薬を飲んでいたそうです。

その結果、水を飲むのが苦痛で服薬がイヤになったり、夜中にトイレに行くために起きたりする等の支障が出ていました。

こうした問題を早期に発見して解決するには、患者さん個々への聞取りが重要になります。「この薬は~~だから」と定型文で指導するのではなく、患者さんの事情を理解したうえで指導する必要が出てくるのです。

生活スタイルに合わせた指導

薬で多いのが「食後の服用」というルールです。朝昼晩の食事のあとに服薬すると指導するのが一般的ですが、患者さんの生活スタイルによっては上手くいかない場合もあります。

例えば朝食は摂らない人、朝昼兼用のブランチをする人、仕事が忙しくて昼食が3時ころになる人、ダイエットで夕飯を抜く人などの服薬タイミングは判断に困るものです。


薬剤師は単に「毎食後に服用してください」と指導するのではなく、「いつもお食事はどうされていますか?」と聞き取りをしてみてはどうでしょうか。そのうえで「規則正しい食後の服用は可能ですか?」と質問してみると意外な答えが返ってくるかもしれません。

服薬の良いタイミングがつかめない患者さんに対しては、薬の種類(性質)を考慮したうえで生活スタイルに合う服薬指導を行なう必要があるでしょう。


服薬コンプライアンスもアドヒアランスも、患者さんに適正に薬を服用してもらうための方策であることに変わりはありません。適正な服薬の目的は病気やケガの治療であり、「患者さんに早く良くなってほしい」という想いが根底にあるはずです。

WHOが推進する服薬アドヒアランスも「治療効果の向上」が目的です。医師がどんなに適切な処方をしても、患者さんが適正な服薬をしなくては治療効果の向上は望めません。その意味では薬剤師が果たす役割は大きいといえるのです。


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<服薬コンプライアンスとアドヒアランスは?のまとめ>

  • 服薬コンプライアンスとは患者さんが服薬ルールにしたがうこと
  • アドヒアランスとは患者さんが自ら治療に納得し参加すること
  • 患者さんが医師や薬剤師と話し合いながら薬剤を選択する
  • 服薬の目的や意義を理解し、納得したうえで治療を進めていく

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