薬剤師の過剰時代が来るって本当?



ここ数年来、「薬剤師が過剰になる時代が来る」と騒がれています。主な根拠となっているのが学校教育法の一部改正による薬学部・薬学科の増加です。学部や学科が新設されることにより、学生が増えて結果的に薬剤師が過剰になるというわけです。

ほかにも薬剤師が過剰になるという論拠が多数出ていますが、実際に人が余るような事態に陥る可能性があるのでしょうか?ここでは薬剤師の過剰時代は本当に来るのかを徹底探求してみました。


薬剤師の過剰時代が来るって本当?



薬剤師が過剰になるといわれる理由は、大きく分けて3つ挙げられます。

1.薬学部・薬学科の新設

2004年(平成16)に学校教育法と薬剤師法の一部改正が国会で成立し、2006年(平成18)からは薬学教育の6年制がスタートしました。同時に大学の設置や学部・学科の設置に関する規制が緩和され、薬学を含む17の分野の学部開設は認可制ではなく届出制でも可能になりました。こうした規制緩和により薬科大学や薬学部・薬学科の新設ラッシュとなったのです。

6年制がスタートした2006年に、薬学系大学に入学した学生数は約1万名を超えました。全員が薬剤師資格を取得した場合、「厚生労働省の薬剤師需要見込み」を大幅に上回る結果となります。これが薬剤師過剰予想のひとつの根拠ともなったのです。

●ポイント:2006年に薬科大学や薬学部などが相次いで新設され、急激に増えた薬学生が卒業後に薬剤師資格を取得すると薬剤師過剰になると懸念された。

2.一般医薬品の販売制度が変更

2006年(平成18)に「薬事法を一部改正する法律(改正法)」、2009年(平成21)に「薬事法思考規則の一部を改正する省令(改正省令)」が公布され、従来の薬局のほかに一般医薬品だけを販売する店舗販売業が認められることになりました。

それに伴い、こうした店舗では薬剤師資格を取得していなくても、当該試験に合格して都道府県知事の登録を受けた者ならば販売に従事することが可能と定められました。この制度が「登録者販売制度」で、一般医薬品のみを販売する店舗では薬剤師がいなくても営業や販売ができるという結果になったのです。

●ポイント:一般医薬品のみを取扱うドラッグストアなどでは薬剤師を雇用せず、都道府県知事の登録を受けた従業員に担当させるところが増えてきた。

3.厚労省の計算による予測

厚生労働省は2007年(平成19)に「薬剤師受給の将来動向に関する検討会」を開き、薬剤師はすでに過剰となっていると報告しています。報告書によれば2011年度(平成23)には7万5000人、2014年度(平成26)には8万4000人の薬剤師が余るという計算です。

これはあくまで計算上のもので、実際に7~8万人もの薬剤師が余剰になっているとは考えにくいのが現状です。そこまで薬剤師が過剰なら求人募集も大きく減少し、失業する薬剤師も大幅に増えているはずです。しかし、厚労省の報告により「薬剤師過剰時代が来る」という考え方が広まった部分があるのも事実でしょう。

●ポイント:厚労省の報告の根拠は、大学数や定員数が減少傾向にない、今後の処方箋枚数の伸びが鈍化していくことに配慮すべきである等が挙げられている。


実際はどうなの?



薬剤師過剰時代が来るという論拠は分かったものの、実際に薬剤師が余ったり転職に困るような事態は起こるのでしょうか。

現職の薬剤師からは「職場が人手不足で困っている」、調剤薬局の経営者からは「求人募集をしても応募が少ない」、ドラッグストアの店長からは「薬剤師を増やしたくても人がいない」という感想が出ています。

このように「未だに薬剤師不足は続いている」というのが大方の意見です。実際のところはどうなのか、将来的に薬剤師過剰時代は来るのかという疑問に対し、薬剤師不足が続く理由から答えを探っていきます。

薬剤師が増えても不足分が補えない

法律の改正などで薬剤師が多少増えたとしても、依然として薬剤師不足は続いています。なぜなら、薬剤師の不足は10~15年以上前から続いており、少しくらい薬剤師が増えたとしても余るまでには至らないためです。

一部では「2012年以降、薬剤師が毎年1000名以上増えている」といわれていますが、これは正確な数字ではありません。かりに今後1年に1000名ずつ薬剤師が増加したとしても、47都道府県で割ると、1県に20名程度ずつしか増えない計算になります。

新たな薬剤師が誕生する一方で、定年や家庭の事情などで仕事を辞める薬剤師も一定数存在しています。薬剤師が本当に過剰になるには、現在以上に大幅に薬学生が増える必要があります。

2012年以降の薬剤師増加数はわずか

2006年の学校教育法の一部改正を受け、2012年以降に薬剤師過剰時代が到来すると予測されていたものの、法改正後の国家試験合格者数は大幅に増えているとは言い切れません。

2002~2005年 平均9061名
2006~2011年 平均7397名
2012年 8641名
2013年 8929名
2014年 7312名
2015年 9044名
2016年 11488名


上記のように法改正前の合格者数(平均)を超えたのは2015~2016年の2年間のみです。しかも2012~2016年の平均は約9082名で改正前を超えていません。

2015年以降の伸びが続けば薬剤師過剰時代は続く可能性があるものの、少子化の影響で学生数全体が減っている現状を加味すると大きな伸びは期待できないのです。

女性薬剤師が多いのも人手不足の理由

薬剤師の約6割を占めているのが女性です。長く続けられる専門職として薬剤師は女性に人気ですが、これも人手不足の一因となっています。というのは女性の薬剤師の場合、結婚や出産、子育てなどで休職したり退職するケースが多いためです。

政府は少子化対策のため子育て支援を積極的に行なっていますが、まだまだ仕事と育児の両立にはむずかしい一面があります。出産や育児のタイミングで仕事を辞める、子育てが終わっても復職しないという女性薬剤師が少なくないのも人手不足が解消しない理由のひとつなのです。

薬剤師免許があっても就業しない人もいる

薬学部が増えて薬剤師免許を取得する人が増えても、実際には薬剤師の仕事に就かない人もいます。特に6年制導入以降は学費負担が大きくなり、予算に余裕のある家庭の学生が増えてきました。

こうした学生のなかには「薬剤師免許は保険のようなもの」「すぐに薬剤師として働くとは限らない」という人もいるそうです。厚労省の調査でも薬剤師免許があっても資格を必要としない職業に就いている人は全体の約30%に及んでいます。


薬剤師として生き残るためには



「薬剤師過剰時代はすぐには実現しない」とはいえ、将来的には薬剤師が余る地域が出てくるという予想もあります。現職の薬剤師が生き残るために必要となるのは、どのような要素なのでしょうか。

薬剤師としての専門性を高める

調剤や服薬指導といった一般的なスキルだけでなく、薬剤師として高い専門性を持つと生き残りに大きなプラスになります。将来を見据えて各分野の専門薬剤師や認定薬剤師の資格を取るのも良い方法でしょう。社会の高齢化に対応し、介護分野の知識や技能を身に付けるという方法もあります。

今後は薬剤師なら誰でもできる仕事ではなく、専門的なスキルを持つ薬剤師が優遇される時代が来るはずです。

時代の進化に遅れない努力をする

医療の世界は日進月歩の勢いで進化しています。現在では、ひと昔まえなら考えられなかったパソコンを使った情報管理が一般的になりました。今後はマイナンバー制度の導入によって、薬歴や処方箋、検査値などもカードを使えばどこでも利用できるようになるといわれています。

調剤に関しても、一包化や水剤製造が機械化された場合に「機械のことはよく分からない」と敬遠するようでは薬剤師として生き残れません。

地方の仕事や在宅業務に注目する

薬剤師過剰時代は間近には迫っていないものの、都市部では近い将来薬剤師余りが起こると予想する人もいます。患者数の多い大手調剤薬局では機械化を進めていたり、薬剤師給与の高い大手チェーン系ドラッグストアでは登録者販売制度を利用するところが増えています。

一方、地方では薬剤師が進んでおり人手不足が深刻になっていたり、地域を問わず患者さんの自宅まで薬剤師が薬を届ける在宅業務が増えています。これまでの働き方を見直し、地方の求人や在宅業務の求人に注目してみてはどうでしょうか。


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<薬剤師の過剰時代が来るって本当?のまとめ>

  • 法律の改正により薬学生が増え過剰時代が来る
  • 薬剤師免許がなくても一般医薬品が販売可能になった
  • 厚労省は将来的に薬剤師が余ると予測している
  • 実際には未だに薬剤師不足は続いている
  • 女性薬剤師が多く出産や育児で仕事が辞める人が多い
  • 薬剤師として生き残るには専門性を高める方法がある

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