いわゆる「定年」を迎えた後も、仕事を続ける人が増えています。
専門性の高い薬剤師なら、定年後でもこれまでの経験やスキルを活かして働くことが十分可能です。
今回は、定年後の薬剤師の再就職事情にクローズアップしました。
定年後の薬剤師に人気の再就職先や、再就職時の注意点をお伝えします。
目次
定年引上げ?薬剤師業界の傾向は?
これまでは、「定年=60歳」が一般的でしたね。
しかし、年金事情や労働人口の減少などといった社会的な要因によって、定年を迎える年齢が引き上げられ、定年を65歳とする企業も増えてきました。
薬剤師の世界ではどうなっているのでしょうか?
「定年=60歳」は間違い?
定年制度は法律などで定められている訳ではなく、企業が就業規則などで、独自に設定しているものです。
定年が60歳になっている理由は、主に2つあります。
まず、年金の支給開始が60歳であったこと。
もうひとつが、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」によって60歳未満での「定年」を禁止していることです。
これらの理由によって、ほとんどの企業では60歳で定年としているのです。
実は、定年制を設けることは、企業側・労働者側の双方にメリットがあります。
雇用者側から見れば、長年働いてくれた従業員を解雇しなくてもいいため、人材の入れ替えがスムーズになりますし、労働者側は健康な内に仕事から解放されて、余暇を楽しむことができます。
ところが近年では、これらのメリットが崩れてきており、その結果、定年の引き上げや定年後の再雇用が増えてきています。
定年の引き上げや定年後の再雇用が増えてきた理由は、どこにあるのでしょうか?
定年後の再雇用が増えているのはなぜ?
定年を迎えた後に、「再雇用・再就職」をする人が増えてきていますが、これには理由があります。
まず、平成28年に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が改正されたことが挙げられます。
これにより、企業には65歳までは安定した雇用を確保する義務が課せられたのです。
また、年金支給開始年齢も徐々に先送りされています。
年金受給開始までの収入の空白期間を埋めるためにも、65歳までの雇用を確保する必要があったのですね。
これが、定年の引き上げや定年後の再雇用などが導入された背景にあるものです。
<参考サイト>:高年齢者の雇用|厚生労働省
定年制度、薬剤師業界の傾向は?
薬剤師業界でも、ほとんどの場合で定年制が設けられています。
職場によって何歳を定年とするかは差がありますが、やはり他業種と同様に、60歳を定年とする場合が多いようです。
とはいえ、知識と経験を持った薬剤師は非常に貴重な存在ですから、定年を迎えたとしても、雇用に関するニーズは高いのです。
実際に、定年後も再雇用で薬剤師として勤務を続ける人も少なくありません。
<関連記事>:薬剤師の退職金相場って、いくら?
60歳以上の薬剤師、働き口はあるの?
一般的には再就職の場合にネックになるのが年齢です。就業先がない、給与が下がるなどの懸念もありますよね。
薬剤師の場合はどうなのでしょう?
勤務延長や再雇用は給与が下がる?
定年後も「再雇用」として同じ職場で働き続ける場合、多くはパートタイマーとして新たに労働契約を結ぶことになります。
いわゆる非正規社員として働くことになりますから、待遇面が大きく落ちることが一般的です。
給与面だけでなく、福利厚生の面でも差が出てくる可能性もあります。
しかし、慣れ親しんだ職場で働くことのメリットは大きいため、条件が悪くても同じ職場に再就職する人は多くいます。
定年を過ぎても転職はできる?
定年後は、なかなか再就職先が見つからないことも考えられますが、薬剤師はほかの職種と比べると比較的有利であると言えます。
とある求人サイトでは、薬剤師の総求人数6.2万件のうち、60歳以上歓迎とうたっている求人が1,000件近く存在しています。
もともと専門職であることに加え、長年の業務経験やキャリアを持つ定年後の薬剤師のニーズは非常に高いのです。
定年後に転職しやすい職場はどこ?
では、60歳以上の薬剤師を求める職場には、どのような所があるのでしょう?
先ほど紹介した求人サイトで詳細を調べてみました。
求人数(件) | 60歳以上歓迎(件) | |
---|---|---|
調剤薬局 | 51,864 | 737 |
病院 | 3,264 | 50 |
調剤併設DS | 3,372 | 101 |
OTC販売(DS) | 1,907 | 43 |
企業 | 1,524 | 21 |
薬剤師求人合計 | 62,080 | 956 |
上記の表は雇用先別の薬剤師求人で、60歳以上歓迎の求人件数を表したものです。
60歳以上歓迎とうたう職場のうち、約7割が調剤薬局です。求人数もドラッグストアや病院をはるかにしのぎます。
次いで多いのがドラッグストアで、60歳以上歓迎の割合は、調剤薬局や病院などの倍近くなっています。
このように、調剤薬局やドラッグストアは、高齢者であっても採用されやすい職場といってよいでしょう。
もちろん、数は少ないですが病院や企業での求人もみられます。
前職での経験を生かせる場所であれば、大体どの職場でも、再就職で採ってもらえる可能性があります。
薬剤師、再就職のポイントは?
薬剤師は、その資格やこれまでの経験を活かすことができるため、再就職や再雇用を前向きに検討している人も多いでしょう。
とはいえ、定年後に働く上ではいくつか注意しなければいけないことがあります。
「こんなはずじゃなかった」とならぬよう、あらかじめ知っておきましょう。
給与や待遇が劣る場合が多い
これまでと同じ職場で再雇用となった場合でも、待遇面は下がるのが一般的です。
たとえ以前と業務内容が同じだったとしても、雇用形態が変われば収入も変化します。
給与・賞与・手当・福利厚生などの面で、以前よりも待遇が下がるのが当たり前と思っておきましょう。
もちろん、別の職場に勤務する場合も同様です。また年金受給開始後に働きすぎると、年金支給額が減ってしまう場合もあります。
盲点になりがちなので、再雇用での賃金バランスを考えることも大切です。
職場での立場が低くなる
定年まで勤めあげた薬剤師の場合、何らかの役職についている人も多いはずです。
しかし今までの職場で継続して勤務する場合、上司・部下が逆転するのはよくあることです。
もちろん、貴重な戦力であるからこその再雇用なのですが、あくまでも組織の中では下の立場となることを自覚しましょう。
人間関係でトラブルを起こさぬよう、謙虚な姿勢が不可欠です。
上司のほうも、年上で知識も豊富な再雇用者については「強く言えない」立場にあります。
そのような元部下や年下上司の気持ちにも配慮してください。
自分から積極的に動き、丁寧なコミュニケーションを取るように心がけるのが大切です。
<関連記事>:薬剤師の転職・退職理由として多いのは?
「定年後」の立場を生かした働き方をしよう!
一旦定年を迎えた後、どのような働き方をするのかはあなた次第です。
これまでと同じようにフルタイムで働くこともできますし、週数日だけ働いて、残りは趣味を楽しむこともできます。
たとえ週に数日、1日数時間の勤務であっても、薬剤師の時給は他の職業と比べると圧倒的に高いです。
自分の希望に合わせて柔軟に働き方を選びながらでも、ある程度の所得を確保することができるでしょう。
これは、資格と長年の経験によるスキルを持つ定年後の薬剤師ならではのメリットかもしれませんね。
- 薬剤師も60歳~65歳で定年となるが、再雇用・再就職の道はある
- 調剤薬局やドラッグストアでは、60歳以上歓迎の求人が多い
- 再雇用では非正社員となり、給与などの待遇面は以前よりも下がることがほとんど
- 元部下が自分の上司になる可能性もあるため、人間関係に注意が必要
- フルタイムや数時間だけなど、自分のライフスタイルに合わせて働ける
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