薬剤師というと薬局で働くイメージが強いですが、薬剤師が活躍できる職場は様々です。
就職先を選ぶ時はつい給与に目がいってしまいますが、それ以外にも働きやすさや業務内容など、重視したいポイントは沢山ありますよね。
今回は、薬剤師の就職先で人気がある職場をご紹介します。
目次
薬剤師の就職先、どんなところがある?
薬剤師の就職先で、もっとも多いのは薬局です。
平成29年度3月卒の薬系学科の就職動向調査によると、薬系学科の6年制新卒者の内、32.7%が薬局に就職しています。
また、その次に多い就職先は病院や診療所で、24.3%です。これらの就職先だけで新卒の半数以上を占めています。
その他に、医薬品販売業や企業、行政などへの就職もあり、薬剤師の就職先は多岐に渡ります。それぞれの就職先について調べてみました。
調剤薬局
調剤薬局は、薬剤師の就職先で最も多い職場です。求人数も多く、薬剤師の就職先の定番といえます。
しかし、調剤薬局といっても種類は様々です。大規模なチェーン店の薬局と、独立している個人経営の薬局では雰囲気や待遇も異なります。
調剤薬局での仕事内容は、病院からの処方箋を元に調剤を行い、患者に服薬指導をするのがメインです。
また、患者の薬歴管理を行うのも大切な仕事です。
患者と日常的に接するためコミュニケーション能力が求められますが、体力的な負担は比較的少ない職場が多いです。
ただし、全国展開しているような大規模チェーンの調剤薬局となると、転勤やヘルプの可能性があります。
<関連記事>:薬剤師が調剤薬局へ転職する時の注意点は?
ドラッグストア
街中のドラッグストアも、薬剤師の就職先のひとつです。
ドラッグストアで働く薬剤師は、調剤に関わる機会は少なく、お客様に薬のアドバイスをするのがメインの仕事です。
就職先が多いことと、待遇も安定していることから人気の職場です。
ただし、ドラッグストアは薬剤師の仕事以外の雑用が多いというデメリットがあります。
薬剤師として薬のアドバイスや健康相談を行うのがドラッグストアの薬剤師の仕事ですが、レジ打ちや在庫管理といったドラッグストアの運営に関する仕事も行います。
場合によっては薬剤師としての仕事より一般スタッフのような仕事がメインになってしまうこともあり、薬剤師としてのスキルを活かしきれない職場もあります。
ドラッグストアの薬剤師として働くなら、調剤薬局併設型のドラッグストアで働くのがおすすめです。
病院
病院薬剤師は、その名の通り病院内の薬局で働く薬剤師です。
薬剤師の就職先の中でも最も人気が高く、医療現場で働くやりがいを求めている方にぴったりの職場です。
仕事内容も調剤や服薬指導が中心で、薬剤師としての能力を活かせます。
また、医師や看護師との連携も重要で、チーム治療に携わる機会があるなど、病院内で働く薬剤師は非常に専門性の高い仕事です。
仕事内容はハードで、待遇面でもそれほど大きなメリットはありませんが、専門性の高さとやりがいという面で、非常に人気がある職場です。
企業
薬剤師が就職する企業は、製薬会社や医療品メーカーが中心です。
しかし企業で働く薬剤師は、人気の高さと求人数の少なさから非常に狭き門です。
企業で仕事をする薬剤師は、主にMR(医薬品営業)や研究開発などの業務に携わります。
MRとは製薬会社の営業・広報を担当する仕事で、病院などに行き、医師に自社の薬剤に関する情報を提供する営業活動を行います。
MRは薬剤師の資格が必須ではありませんが、医薬品に関する知識が豊富な薬剤師に向いている仕事です。
ただし、あくまでも営業の仕事なので、営業スキルが必要です。
さまざまな相手とコミュニケーションをとって自社製品の営業活動を行うのが仕事なので、調剤業務に携わる機会はほとんどありません。
研究開発の仕事は、製薬会社の仕事で最も人気です。
薬剤師として高いスキルが求められるため、博士課程の卒業が必須など非常に狭き門ですが、薬剤師としての専門性を活かし、長期にわたって活躍できる仕事です。
研究職は主に新薬の開発に携わります。また、開発職は新薬の安全性の確認や臨床試験を行うのが仕事です。
薬剤師の就職先、人気ランキング!
薬剤師の就職先の中で、人気の職場を給与の高さや働きやすさなどの要素でランキング形式にまとめました。
給与が高い就職先は?
薬剤師の就職先の中で最も給与が高いのはMR(医薬品営業)です。
薬剤師免許がなくても働くことができるMRですが、平均年収は30代で850万円から1000万円程度と、薬剤師の平均年収である580万円を大幅に上回っています。
MRは営業職であることからノルマがあることが多いですが、ノルマを達成すればその分収入にも反映されるという点が大きいです。
2番目に給与が高いのは、企業で働く研究開発職です。企業の規模や経験年数にもよりますが、平均年収は800万円を超えます。
競争率は高いですが、一度就職すれば長くキャリアを築いていける仕事なので、昇給も期待できる職場といえるでしょう。
そして3番目に給与が高いのは意外にもドラッグストアの薬剤師です。
平均年収は600~750万円で、頑張りによっては800万円以上を目指せる職場もあります。
ドラッグストアの薬剤師は地域や店舗などに大きく年収が左右されますが、調剤薬局や病院勤務の薬剤師に比べても、比較的高い年収を得ています。
一方で病院薬剤師は、平均よりも給与が低めです。平均年収は400万円台で、病院勤務の薬剤師で高い給与を目指すのは難しいでしょう。
やりがいの大きな仕事ですが、給与面を期待するなら、優先順位は低い職場です。
<関連記事>:調剤薬剤師から病院薬剤師への転職は大変?
働きやすい就業先は?
働きやすさから薬剤師の収入を選ぶと、最も働きやすいのは企業で研究開発に携わる薬剤師です。
基本的に土日休みの職場が多く、福利厚生も安定しています。特に薬剤師として研究に没頭したい方にとっては、非常に働きやすい職場です。
また多くの薬剤師の就職先である調剤薬局も、仕事の負担が少なく、働きやすい職場です。
残業の有無は薬局によっても異なりますが、調剤薬局の勤務はシフト制であることが多いです。
そのため、基本的には決められた勤務時間の中で働くことができ、休みもとりやすいです。
また、門前薬局の場合は近隣の病院に合わせて営業しているため、残業も少なく、休みも固定でとることができます。
ドラッグストアの薬剤師も、働きやすさはそれなりに良好です。
薬剤師業務以外の一般業務が多いという面はありますが、大幅な残業は少ないでしょう。
大規模なチェーン店の場合は多店舗などへのヘルプ要請があることもありますが、基本的にはそれほど激務ではありません。
数ある薬剤師の職場の中で最も激務とされているのが、MRの仕事です。
営業職のためストレスが多く、ノルマや残業が多いです。
同じ企業勤めの研究開発職とは全く違い、かなり忙しいので覚悟が必要です。
キャリアアップしやすい就業先は?
薬剤師の資格を活かしてキャリアアップするなら、規模の大きいチェーンの調剤薬局が最もおすすめです。
調剤薬局は薬剤師の求人が非常に多いため、まずは調剤薬局で経験を積んでから、次の職場に転職するというキャリアプランが形成しやすいです。
勤務薬剤師から管理薬剤師へのキャリアアップを目指し、将来的に管理職の道を選ぶという道もあります。
またドラッグストアの薬剤師も、キャリアアップを目指しやすい仕事です。
店長や管理職になると年収もアップするため、最初の職場での経験を積んでから、より規模の大きいドラッグストアに転職するのもいいでしょう。
キャリアアップしやすい就職先の3番目は、企業の研究開発に携わる薬剤師です。
職場内でのキャリアアップより、薬剤師としてのスキルや能力を磨き、専門性を高めたいという方におすすめです。
また薬剤師の専門性を高めるためには、病院勤務の薬剤師もおすすめです。
病院内でのキャリアアップというより、病院勤務の経験を活かして転職に役立ちます。医療の最先端でさまざまな知識を学べるのは病院勤務の強みです。
仕事は激務ですが、薬学の実践的な知識やスキルが身につきます。
薬剤師、こんな働き方でも活躍できる!
薬剤師の就職先には、意外な職場もあります。薬剤師の資格を活かせるさまざまな職場をご紹介します。
公務員として働く
公立学校や保健所で働く薬剤師は、公務員薬剤師と呼ばれます。
国家試験に合格する必要がありますが、中には自衛隊や刑務所など、あまりなじみのない職場で働くこともできます。
初任給は年収300万円程度ですが、公務員のため定期昇給があります。平均年収は約600万円で、退職金も高額です。
<関連記事>:公務員薬剤師に転職するには
研究者として働く
薬剤師の資格を活かして企業や薬局で働くのではなく、大学で研究を続ける道もあります。
大学で博士課程を修了した後、研究員から助教授、講師などのステップアップを目指していきます。
教授になれば1000万円前後の年収になりますが、かなり長い道のりです。研究が何よりも好きという方にはおすすめです。
自分の好きな分野で働く
薬剤師の資格を活かして活躍できる道は様々です。
スポーツチームのアドバイザーや海外ボランティア、化粧品メーカーの開発担当者など、可能性はたくさんあります。
自分の興味がある分野があれば、その道で薬剤師の資格を活かして働けないか調べてみるのがいいでしょう。
薬剤師の就職先選び、ポイントはここ!
以上を踏まえ、薬剤師の就職先について改めてまとめます。
就職のしやすさは?
まず、就職のしやすさから確認します。
求人の数や、転職・就職の難易度から言って、「薬剤師が就職しやすい勤務先」は以下の通りとなります。
ドラッグストア > 調剤薬局 > 病院 > 製薬会社
上でも多少紹介しましたが、製薬会社はとにかく求人数が少ないため、ごく一部の方を除いて転職候補先にはならないかもしれません。
求人数の多さでいえば、ドラッグストアと調剤薬局ですが、転職しやすさでいえばドラッグストアです(とにかく人手不足のため)。
就職先の特徴を表にまとめました
以下は、ドラッグストア・調剤薬局・病院の特徴を表にまとめました。
調剤薬局 | 病院 | ドラッグストア | |
---|---|---|---|
年収 | 400万後半から500後半 | 300後半から400後半 | 500前半から600前半 |
昇給 | それなりにある | 少しある | あまりない |
仕事のやりがい | ある | すごくある | あまりない |
転職の難易度 | 普通 | 難しい | 楽 |
勉強になる | なる | すごくなる | あまりならない |
仕事の大変さ | 普通 | すごく大変 | それなりに大変 |
夜勤 | なし | あり | なし |
パートの求人 | 多い | 少ない | 多い |
どの職場がよいとは言えません。人によって、最適な職場は違うはずです。
上の表を確認しながら、自分にあった就職先・転職先を探すとよいでしょう。
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まずは2~3か所の会社へ登録し、利用してみることをおすすめします。
- 薬剤師の就職先で最も多いのは調剤薬局やドラッグストア
- 企業への就職は人気だが非常に狭き門
- 給与の高さで選ぶなら企業で働くMRがおすすめ
- 福利厚生が充実しており、企業の研究開発職は働きやすい
- キャリアアップを目指すなら、まずは調剤薬局で経験を積むのがベスト
- 公務員や研究者など、薬剤師の資格を活かして働ける職場は非常に多い
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