薬剤師のサービス残業、対策は?



調剤薬局やドラッグストア等で働く薬剤師から「サービス残業が多い」という不満の声が上がっています。内部告発によりメディアでも取り上げられた薬剤師のサービス残業問題ですが、現状はどうなっているのか、どんな対策があるのかといった点について、労働基準法の残業に関する定めを含めて詳しくまとめています。

薬剤師の不満、サービス残業について

サービス残業(サビ残)とは、賃金が支払われない時間外労働のことをいいます。残業をしたのに手当てが付かない、その分の賃金がもらえないというのがサービス残業です。労働者が自主的にサービス残業をしている場合もありますが、雇用側からの指示でサービス残業を強いられているケースも少なくありません。

結果として残業しても手当てがゼロ円となり、時間外に働いた分はいわゆる「タダ働き」となってしまうのです。近年、薬剤師に多いといわれるサービス残業の現状を見ていきましょう。

新人薬剤師はサビ残が当たり前?

新卒で調剤薬局に就職したAさんは朝9時から夜9~10時過ぎまで働く毎日です。定時は9時から6時までですから、それ以降の3~4時間は時間外労働(残業)ということになります。

Aさんは、当然、その残業分の賃金は支払われると思っていたところ、薬局の経営者は「新人薬剤師は研修中なので手当ては出ない」と言われてしまいました。Aさんが抗議すると「仕事が一人前にできないのだから勉強していると思えばいい」という説明があり、入社日から6カ月間はサービス残業になるという内部ルールがあることを知ったそうです。

サービス残業が当然の門前調剤薬局

病院やクリニックに隣接した調剤薬局には門前薬局という俗称があります。こうした薬局では医療機関が患者で込んでいるなどの理由で診療が長引くと残業になるのが一般的です。

簡単にいうと「患者さんがすべて帰るまでは店が閉められない」という状態ですが、Bさんが勤務する薬局ではこのような場合、残業手当が一切支給されません。その理由は「常時あることではないので残業代を払っていられない」というものです。

たまのことなら仕方がないかもしれませんが、実際には月初や月末、週の始めや終わりなどには決まってサービス残業になっています。

1分間不足でもサービス残業の会社

薬剤師のCさんが勤務するドラッグストアでは、定時を過ぎてから30分経過しないと残業手当はつきません。定時の終業時間が18時だとすれば、18時30分からの残業時間が手当ての対象となります。

この空白の30分間は残業代が発生しないだけでなく、うっかり18時29分にタイムカードを押してしまうと29分間の残業代もゼロになるという仕組みです。Cさんがそれを防ぐために30分になるまでタイムカードを押すのを待っていたところ、上司に「そんなに残業代が欲しいの?」と皮肉を言われたそうです。

朝の早出は残業代の対象外の店舗

Dさんが働く調剤薬局では、始業時間の前に準備のために出勤して働いた分は給与に含まれません。いわゆるサービス残業というと終業時間後の仕事というイメージがありますが、本来であれば早出をして働いた分も残業と同じ扱いになります。

つまり残業とは時間外労働を指し、早朝出勤で働いた分も残業手当に含まれるべきという考え方です。しかし、この薬局では「早く出勤するのは準備のためで労働時間には含まない」という方針で、サービス残業となってしまうのです。

シフト勤務の引き継ぎ時間はサビ残

大手ドラッグストアでシフト勤務をする薬剤師のEさんは、次の時間帯の社員と引き継ぎする時間分の残業手当を受取れないでいます。数分程度の引き継ぎなら残業代はなくても仕方がないが、来客の応対を余儀なくされる等の理由で30分から60分間も引き継ぎに時間が掛かる日も少なくありません。

上司に残業代を要求しても「引き継ぎの段取りが悪いからだろう」と取り合ってくれず、Dさんはもう諦めるしかないと考えています。

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上記が薬剤師にありがちなサービス残業の例です。ほかにも「定時で帰るとイヤミを言われてサービス残業している」「他の店舗に残業代なしでヘルプに行かされる」「個人経営の薬局なので昼休みも仕事が入るが手当てはなし」「開店前の掃除、定時後の薬歴入力、店内の片付けはサビ残」などの例があります。


残業と労働基準法について



サービス残業とは、法律で決められた労働時間を超えて働いた場合に、雇用者から支払われるべき残業代(割増賃金)が支給されないことを指します。つまり「無料で残業する=残業代をサービスする(受取らない)」という状態になるわけです。

もちろん労働者が自主的にサービス残業をするケースはほとんどなく、雇用側の判断で残業代が支払われないのが大多数です。こうした雇用側の姿勢は法律的にも問題があります。次に残業と法律の関係について見ていきましょう。

「労働基準法(労基法)」とは?

労働者の保護を目的に1947年(昭和22)に制定されたのが労働基準法という法律です。労働基準法では労働契約や安全・衛生、災害補償、就業規則などとの労働条件の基準が定められおり、そのなかには労働時間や賃金に関する基準も含まれています。この法律のうち、残業とその手当てに関連する部分は以下のとおりです。

「残業」と「時間外労働」の関係

残業は労働時間のうちの時間外労働に該当します。労働基準法では法定労働時間を実働8時間以内、週40時間と定めています。これ以上働いた場合は時間外労働と判断されます。時間外労働はしばしば「残業」と呼ばれ、1日8時間を超えて働くと残業(時間外労働)をしたと考えられがちです。

もちろん定時以降に働く残業も時間外労働に含まれますが、それ以外にも早出(始業時間前の労働)や休日労働(休日出勤)なども時間外労働になります。

時間外労働の賃金(残業代)について

労働者が残業を含む時間外労働を行なった場合、通常の労働時間に支払われる賃金の25%以上50%以下の範囲で割増賃金を支払わなければならないと定められています。その計算方法は次のとおりです。

  • 通常残業(22時まで)…割増率25%以上
  • 深夜残業(22時~翌日5時まで)…割増率50%以上
  • 休日労働(22時まで)…割増率35%以上
  • 休日労働(22時~翌日5時まで)…割増率60%以上

たとえば時給1000円で働いている薬剤師が夜10時までの通常残業をした場合、受取れる残業代は1250円(/時間)、夜10時から翌朝5時までの深夜残業をした場合は1500円(/時間)というように計算します。これは労働基準法で定められた残業代で、雇用側は労働者に支払うべきものです。

「所定労働時間」と「法定労働時間」

労働基準法では「法定労働時間」を実働8時間以内・週40時間と定めています。しかし就業先によっては1日の労働時間が7時間であったり、7.5時間であるところなどもあるでしょう。このように就業先の規定で設定されている労働時間を「所定労働時間」と呼びます。

残業代など時間外労働の賃金の計算は「法定労働時間」によりますので、1日の所定労働時間が7時間の就業先であれば[1日8時間-7時間]の1時間分は割増賃金にはなりません。時間外労働の割増賃金が発生するのは1日8時間を超えた労働の分、もしくは週に40時間を超えた労働の分ということになります。

労働基準法に違反した場合の罰則

民事では雇用側に対し、時間外労働分の未払い金、付加金、遅延損害金の支払いが命じられます。ただし未払い金の時効は2年間で、2年以上を経過している場合は無効となります。刑事では雇用側が6カ月以上の懲役または30万円以下の罰金に処せられるとしています。


残業の悩みを解決するなら転職



薬剤師として働いていくうえで、サービス残業の問題で悩んでいるというなら、思い切って転職してみるのも一つの方法です。次に残業がない転職先を選ぶポイントをまとめてみました。

(1) オフィスワークの仕事を選ぶ

企業のコールセンターなど、オフィスワークの仕事には残業なしという求人が多く見られます。たとえば製薬メーカーや医薬品卸売企業のコールセンターで、医薬品情報に関する質問に答える仕事などが該当します。

問合わせをしてくるのは主に病院の医療スタッフや薬局勤務の薬剤師などですが、自社の営業担当スタッフからの質問に答えることもあります。薬剤師としての知識や経験を活かし、最新の医薬品情報を提供する仕事といえるでしょう。

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(2) 病院内のデスクワークを選ぶ

大手総合病院にはDI室が設けられています。DIとはdrug information(医薬品情報)の略です。病院内に設けられたDI室などの専門の部署で、院内で取扱う医薬品の情報を収集・整理・管理・提供する仕事です。

このような仕事はデスクワークが主ですので残業なしが多く、定時に仕事を終えることができるでしょう。情報管理能力や的確な返答をスピーディーに行なう能力が必要です。

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(3) 残業なしが条件の求人を選ぶ

一般的な調剤薬局やドラッグストアでは、毎日の残業がつきものという場合も少なくありません。しかし求人先を探す段階で「残業なし」を条件にすれば、時間外の業務がない職場を見つけることもできます。

実際に薬局やストア勤務の薬剤師求人のなかには残業なしのものも多数あります。特に薬剤師が多数働いている職場では、人手不足になることが少ないので残業を避けやすくなるでしょう。

(4) 派遣ワークの仕事を選ぶ

薬剤師の新しい働き方として派遣ワークという選択肢もあります。就業先は薬局やストア、起業など多岐にわたりますが、契約時に「残業なし」を条件にすると時間外労働を避けることができます。もし残業を求められても、派遣元の担当スタッフが交渉してくれるのでトラブルになることが少ないのもメリットのひとつです。

残業なしの転職先を探したいなら、求人数が豊富で薬剤師の転職に実績のある求人転職サイトに相談すると希望条件に合った職場を見つけやすくなります。個人では分かりにくい細かい条件も事前に知ることもできますので、一度相談してみてはいかがでしょうか。

<薬剤師のサービス残業と対策のまとめ>

  • シフト勤務の薬局やストアはサービス残業が多い
  • 早出や昼休みの勤務では残業代が支給されない所も…
  • 新人はサービス残業が当たり前という考え方がある
  • 労働基準法では時間外労働の賃金の定めがある
  • サビ残の悩みを解消したいなら転職という方法もアリ


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