薬剤師の法的責任は?



薬剤師は勤務先を問わず、何らかの過失を犯した場合は法的な責任を負うことがあります。法的責任とは法律上負わなくてはならない責任、つまり刑事責任や民事責任のことです。薬剤師として働く以上、「法律は分からないから」「難しい話で面倒だから」と避けて通るわけにはいきません。

ここでは薬剤師の法的責任について、身近な問題から分かりやすく説明しています。ぜひ、みなさんがお仕事をするうえでの参考にしてください。


薬剤師の法的責任とは?



法的責任とは法律上の責任のことで、刑事や民事の制定法違反に基づく責任を指します。法律上の責任は大きく分けて、刑罰が伴う「刑事責任」と賠償が伴う「民事責任」、行政機関による「行政処分」の3種類です。

刑事責任

刑法に違反した場合、犯罪者は刑罰を受けなければならないという責任です。刑法上の責任とも呼ばれ、違反すると刑事罰を受けることになります。主な刑事罰としては懲役・禁固(刑務所での服役)や執行猶予(刑の一定期間猶予)、罰金などが挙げられます。

薬剤師で刑事責任を問われた例としては、患者さんに薬剤を誤投与する調剤ミスで死亡させてしまった事件があります。このような調剤ミス(過誤)は刑法211条の「業務上過失致死傷罪」に該当し、薬剤師は「禁固1年・執行猶予3年」の刑罰を受けました。

民事責任

民事責任は民法に違反した場合に負わなければならない責任です。民事責任を負う場合、多くは損害賠償という形で被害者に賠償金を支払うことになります。これは刑事責任の罰金とは別で、被害者が受けた損害に対してお金で賠償するもので損害弁償責任ともいいます。

薬剤師が民事責任を問われ、損害賠償金を請求された例があります。ある患者に対し薬剤を過剰投与して死亡に至らしめたという事件です。この例では遺族が病院に対して損害賠償を求める裁判を起こし、病院・医師・薬剤師の三者が慰謝料を含め2000万円超の支払いを命じられました。

行政処分

行政機関が法規に基づいて、権利設定や義務を命じるのが行政処分です。薬剤師の免許取得や書換え交付、薬局解説の認可を行なう厚生労働省が該当する行政機関となります。薬剤師や薬局が法規に違反した場合、こうした行政機関が処分の判断を下します。

薬剤師が行政処分を受けた例としては、高校生にMDMA(危険ドラッグの一種)を譲渡して免許取消になったケースが挙げられます。厚労大臣は薬剤師法8条に基づいて薬剤師の免許取消を行なうことができます。行政処分としては免許取消のほか、業務停止や戒告といった処分があります。

道義的責任

法律や法規では処罰・処分がないものの、人としての正しい道を守る道義的責任もあります。薬剤師は患者の生命や健康に関わる職業であり、常に最善の注意義務を負っているといえるでしょう。

たとえ裁判や行政機関によって罰則や処分を与えられなくても、道義的責任を負うことにより退職を余儀なくされたり、薬剤師の仕事を続けられなくなることもあるので注意が必要です。


これって薬剤師の責任になるの?



薬剤師が法的責任を負うケースで多いのが調剤ミスです。では、次のような場合も薬剤師の責任を問われるのでしょうか?

ケース1:医師が疑義照会に応じない

薬剤師が患者さんの処方箋の内容に疑問を持ち、医師に疑義照会したにも関わらず応じてもらえなかったケースです。患者さんの処方箋の薬剤量が通常の範囲よりも多く、薬剤師は「この処方で正しいのか」と迷って医師に連絡しました。

しかし相手方の返事は「いつもその量で処方している」「忙しいのに問い合わせは困る」というものでした。疑問を感じたまま処方通り調剤して患者さんに健康被害が出たら、薬剤師の責任になってしまうのでしょうか?


[疑義照会で確認する義務がある]

薬剤師は疑わしい処方箋に対しては医師に疑義照会する義務があります。たとえ医師が疑義照会に応じなかったとしても、疑いを持ったまま調剤することは許されていません。薬剤師が疑念を抱いたとしたら、医師から明確な説明を受けて納得できるまで調剤してはいけないということです。

上記のような状況で処方箋を調剤し患者さんに健康被害が出た場合は、処方した医師と調剤した薬剤師の双方が連帯責任を負うと考えていいでしょう。

ケース2:患者さんの情報が間違っていた

患者さんに調剤したお薬を渡す際に、「別の薬局から○○という薬をもらった」と告げられたケースです。薬剤師は飲み合わせを確認して「問題ありません」と返事をしました。

その後、患者さんから先に告げた薬の名称は間違いだったと連絡があり、驚いて飲み合わせを再確認すると2種類の薬は併用禁忌であることが判明したのです。こうしたケースで患者さんに健康被害が出たとしたら、薬剤師は責任を負う必要があるのでしょうか?


[適切な服薬指導の義務がある]

薬剤師は患者さんへの適切な服薬指導を行なう義務があります。患者さんからの情報は必ずしも正確とは限りません。患者さんの「○○という薬」という言葉を即座に信じるのではなく、さらに詳しい情報を聞き出して判断することが求められます。

また、薬剤師としての専門知識をもとに、患者さんの状態から「○○という薬」が処方されるかどうかの判断もする必要が出てきます。


上記のような努力をしたうえで、患者さんからの情報に疑問を感じられない状況であれば薬剤師の責任は問われないと考えられます。


患者さんの健康を守るために薬剤師ができること



調剤ミスは患者さんに甚大な健康被害を与える可能性があります。


薬剤師は最大限の注意を払ってミスを防止しなくてはなりません。患者さんの健康を守るためにも、以下のような点に気を付けてください。

処方箋は慎重に読み取る

薬剤師の調剤ミスの原因でいちばん多いのが処方箋の読み間違いです。薬剤の名称が似ていて間違えた、数量のケタや単位を間違えた、手書き処方箋の文字や数字を見間違えた等々の原因で多数の調剤ミスが起こっています。処方箋を読み取る際はしっかり確認しましょう。

類似医薬品の知識を得ておく

調剤ミスが起こりやすいのが似た名称の薬剤の取り違えです。カタカナ名称の薬剤名には似たものが多く、処方箋の文字が小さかったり手書きで読みにくいとミスが発生しやすいのです。似た薬剤名のリストを作成し、常日頃から頭に入れておくとミスを未然に防げます。

入れ間違い、渡し間違いに注意

処方箋や調剤にはミスがなくても、薬袋に薬を淹れ間違ったり、違う患者さんに渡してしまうというケースも少なくありません。患者さんが間違った薬を服用すると健康被害につながる可能性があるので、薬袋に詰める・患者さんに渡す前に二重チェックをしてください。


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<薬剤師の法的責任は?のまとめ>

  • 薬剤師は過失を犯せば法的責任を負う可能性があり
  • 刑事責任、民事責任、行政処分の3種類がある
  • 刑法に違反した場合は罰則を伴う刑事責任を負う
  • 民法に違反すると損害賠償などの金銭支払いがあり得る
  • 薬剤師免許停止や取消、戒告などを行政処分という
  • 特に注意しなければならないのは調剤過誤などのミス

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