資格があれば就職に困らないということもあり、薬剤師は今人気の職業となっています。
ですが、薬剤師はなるまでも、なってからも大変だということは知っていましたか?
この記事では、薬剤師を目指した場合にどんな壁が待っているのかを、詳しく解説していきます。
目次
薬剤師になるまでの道のりは?
薬剤師になるには、大学の薬学部に入り、卒業後に国家試験を受けて合格する必要があります。
まず、この薬剤師になるまでの道のりが大変です。
ここでは、大学受験から国家試験までのツライ点3つをご紹介します。
大学受験はかなり難関?
薬剤師になるには、「薬科系の大学」または「大学の薬学部」を卒業する必要があります。
ですが、まず薬学部に入ること自体がかなり難しいです。薬剤師になる上での最初の難関といっても良いでしょう。
薬学部をもつ大学は国公立・私立のいずれもありますが、基本的に偏差値がかなり高くなっています。
国立大学の場合は70以上、公立大学と上位の私立大学の場合は60以上と考えておいてください。
それ以下の偏差値の私立大学もありますが、国家試験の合格率も低くなるので注意が必要です。
大学を卒業できても、国家試験に合格できなければ薬剤師にはなれません。
<関連記事>:薬学部の授業内容!何を勉強するの?
6年間の大学生活
大学に入ってからは、薬剤師になるため6年間みっちり勉強することになります。
必修科目が多く内容も難しいのですが、そのうちの一つでも落とすと進級・卒業できません。
はじめのうちは座学が中心ですが、学年が上がるにつれて実習が入ってきますし、卒業研究や国家試験対策などもしなければいけないので、どの学年になってもとにかく忙しいです。
また勉強する内容はほとんど暗記ものなので、日々コツコツ勉強しておかないと覚えきれません。
実際、薬学部は留年する人の割合が医学部・歯学部並みに高く、ちゃんと6年間で卒業できるのは全体の約7割といわれています。
もし途中で留年してしまった場合、ストレートでも6年かかる勉強をさらに1年間多く続けないといけなくなります。
6年間勉強を続けるだけでも大変ですが、留年したり国家試験に受からなかったりしても、勉強に対するモチベーションを保っていかなければなりません。
また留年すると、学費の問題も出てきます。
1年間の授業料は、国公立だと53万円程度、私立は大学によって異なりますが約200万円くらいだと考えてください。
国家試験の勉強
大学での勉強を終えたら、いよいよ薬剤師の国家試験を受けることになります。
この国家試験が薬剤師になるための最後の難関であり、合格できなければ薬剤師として就職することはできません。
国家試験は全配点の65%以上(その年の難易度によって多少調整あり)を取れれば合格となります。
ただし、各科目で配点の何%以上を取っていないといけない、という決まりがあり、それを満たしている必要があります。
高校までは苦手な科目があっても他の得意科目でカバーするということができましたが、この国家試験ではそれが通用しません。
どれか一つでも極端に弱い科目があると苦戦することになりそうです。
薬学部が4年制から6年制になったこともあり、国家試験の合格率もその年によって変動していますが、平成20~26年の合格率の平均は66.6%となっています。
国家試験の実施は年1回ですから、3人に1人くらいは次の試験までまた1年間勉強することになるわけです。
<関連記事>:薬剤師の国家試験、難易度はどのくらい?
薬剤師はなってからも大変!
国家試験に合格すれば、晴れて薬剤師として社会に出ることとなります。ですが、薬剤師になってからも苦労は尽きません。
薬剤師の仕事はどういう点がツライのか見ていきましょう。
緊張とプレッシャーが付きまとう仕事
薬剤師の仕事は、人の健康に大きく関わるため些細なミスも許されません。
過去には薬剤師の処方ミスによって、患者さんが死に至るという事例も起きています。
処方箋を受け取って、記載内容を確認して、調剤・処方する、という流れを毎日何度も繰り返すことになりますが、同じことをやっているとどうしても注意が散漫になったり、気が緩んだりしがちです。
そこで薬剤の量を1ケタ間違えたり、似たような薬剤と取り違えたりすると大変な事態になります。
そういう事態を引き起こさないために、薬剤師は常に細心の注意を払って仕事をしなければなりません。
毎日、緊張とプレッシャーが付きまとうなかで働くことになります。
接客業務のストレス
薬剤師として働き始めると、毎日たくさんの患者さんと接することになります。その点では、薬剤師も接客業的な面があるといって良いでしょう。
笑顔で丁寧に接するのは慣れていないと大変ですが、薬剤師の場合は他にも大変なことがあります。
それは、薬の知識がない人にも分かるよう、服薬の仕方や注意点などを正確・確実に伝えるということです。
患者さんは基本的に薬剤の知識を持ち合わせていません。
そういった人が正しい方法で正しく治療を行えるよう、指導するのも薬剤師の役目です。
就職先によっては薬剤師としての業務よりも、接客業務の方が多くなることもあります。
ドラッグストアに就職したら、人手が足りなくてずっとレジをやっていた、という人もいるようです。
「薬剤師になったら薬の調剤だけすればいい」という気持ちでいると、お客さんとのコミュニケーションがストレスになる場合があります。
薬剤師の勉強に終わりはない
国家試験に受かったらもう勉強しなくていい、なんてことはありません。
医療の世界は日々進歩しているため、薬剤師になってからも勉強する必要があります。
新しい薬が開発されたり、重大な副作用が報告されたり、薬の名称が変更になったりと、毎日のようにいろんな変化が起きています。
そういった変化にしっかり対応するには、薬剤師になってからも日々勉強している必要があります。
<関連記事>:調剤薬剤師から病院薬剤師への転職は大変?
忙しい中にもやりがいはある?
とにかく忙しい薬剤師ですが、大変なことばかりかというとそうではありません。忙しい中にも、薬剤師ならではのやりがいもあります。
実際に薬剤師として働いている人たちは、どんな時にやりがいを感じているのでしょうか。
専門知識を生かした仕事ができる
薬剤師は、学生時代から一生懸命学んできたことを生かして仕事ができます。
そのため、自分のしてきた努力が今ほかの人の役に立っている、という実感を得やすいでしょう。
資格を取るのも、取ってからも大変な薬剤師ですが、やはりその努力が患者のためになっていると感じたときは「がんばってよかった」という気持ちになることが多いようです。
特に、患者さんの病状がだんだん良い方向へ変わっていくのを見られるのは、この仕事の醍醐味です。
患者さんから頼りにされる
かかりつけ薬局またはかかりつけ薬剤師であれば、患者さん一人一人の健康増進に向き合うことができます。
患者さんがどこから処方箋をもらってきても、かかりつけ薬局はそれをすべて管理し、飲み合わせに問題はないか・効用の重複している薬はないか、などといったことを確認します。
また、患者さんから薬の飲み合わせや副作用などについて訊かれることもあります。
薬について疑問点があるときは、医師よりも薬局または薬剤師に問い合わせるパターンが多いです。
ただ薬を渡すだけではなく、患者さんとコミュニケーションを取りながら、気軽に相談してもらえるような存在になれたらいいですよね。
- 薬学部への入学はハードルが高く、勉強が難しいため卒業するのも大変
- 必修科目の講義や実習、国家試験の勉強など学生時代はやることがたくさん
- 国家試験は年1回しかチャンスがない上に、合格率は66%程度
- 人の命に関わるため、毎日緊張やプレッシャーに晒されながら仕事をすることになる
- 国家試験に受かったら終わりではなく、薬剤師になってからも勉強を続ける必要がある
- 薬剤師の仕事は忙しいが、そのなかで感じられるやりがいもある

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