薬剤師転職の最新事情と転職先を比較してみた!



薬剤師として現場で働いている方ならお気づきの通り、現場では薬剤師の人手不足が依然続いている状況です。ですが、薬剤師の転職市場にはどういう影響が出ているのでしょうか?ここでは、業界全体の最新事情と、各転職先の最新事情を比較・紹介します。


薬剤師転職業界の全般の状況

2012年に6年制卒業の薬剤師が就職し始めた頃は「薬剤師がついに余り始めるかも?」といった不安が薬剤師の間に広がっていました。ですが、今のところ人手不足が解消するどころか、一層の人手不足の状況が続いています。

このため、現在のところ薬剤師の求人市場は、絶好の「売り手市場」(=働く側が有利な条件で働きやすい)です。

どの職場が転職しやすい?

上記事情のため、一部の職種を除いて、薬剤師はどの分野でも以前より転職しやすくなっています。ですが、どの勤務先でも簡単に転職できる訳ではありません。下記の数字は、ある転職支援会社の業界ごとの求人数を示しています。

<薬剤師求人先ごとの求人数>

正社員の求人 パートの求人 契約社員の求人
調剤薬局 24,402 15,444 2,878
病院 3,947 1,109 50
ドラッグストア 3,202 2,636 1,289
企業 591 57 150
(ドラッグストアは、OTC販売のみと調剤併設型を合せた数字です)

この数字によると、正社員の求人数では調剤薬局が一番多く、次に病院の求人が多いことが分かります。ですので薬剤師の転職先として、調剤薬局が一番転職しやすく、次に病院が簡単に見えるかもしれませんが、そんなことはありません。

薬剤師転職がしやすい職場ランキング

ドラッグストア > 調剤薬局 > 病院 > 企業

ドラッグストアについて

まず、ドラッグストアは圧倒的に人手不足の状況で、転職自体は非常にやりやすいです。OTC(ドラッグストア)の求人数が少ないのは、上の求人数は「求人案件」を求人数としてカウントしているためです。

ですが、ドラッグストアの場合は一つの求人案件に対して複数の薬剤師を募集している場合が多く、求人の数自体が少なく見えますが求人人数はかなり多く、薬剤師が最も転職しやすい職場です。

病院について

病院は求人数こそ多いですが、転職に当たっての条件が厳しく、求人が多い割に転職が比較的難しい職場です。具体的には、中高年の薬剤師で病院未経験の方は、病院への転職はかなり困難でしょう。

加えて、病院は薬剤師の転職先として人気がそれなりに高いため、(たとえ若年層でも)そもそも転職が簡単ではないという事情もあります。

ただし、病院もあまりの人手不足を受け、中高年・未経験でも少しずつ中途採用を増やしています


企業は会社によって事情が大きく違うので、一括りにすることが難しいのですが、求人の数自体も少ないことに加え、面接の難易度も段違いに高いこともあり、転職が最も難しい職場です。

なお、各転職先の詳しい状況は以下の<薬剤師の転職先を簡単に比較します>を参照して下さい。

地方の転職・給与の動向は?

先ほど薬剤師の求人業界は人手不足と書きましたが、地域によってある程度差があります。東京や神奈川といった都心に近い地域では、薬剤師の数もそれなりにいて、正社員給与やパートの時給もそれなりに抑えられます。この地域では人手もそれなりに足りているので、求人先をえり好みできるという状況にはありません。

逆に、地方の薬剤師不足はかなり深刻で、地方に行くほど給与・時給ともに高騰する傾向にあります。たとえば極端な例ですが、北海道のある調剤薬局は時給5000円でパート薬剤師の募集を掛けているところがありますし、鹿児島の調剤薬局に年収1000万で転職した方もいます(この方は、わざわざ東京から移転して転職しました)。


こう書くと、地方が圧倒的に給与面で有利なように読めますが、そこまで世の中甘くはありません。上で挙げた求人は、その地域でも特にアクセスの悪い場所に勤務先があり、かなりの好条件を設定しなければ人を集められなかったというのが実情です。

とはいえ、都市部より地方の方が給与が高いし、転職しやすいのは間違いないので、この点は覚えておいていいでしょう。

  • 転職業界は圧倒的な売り手市場
  • 一番転職しやすいのドラッグストア、次に調剤薬局
  • 地方の方が、給料もよいし転職しやすい


薬剤師の転職先を簡単に比較します

薬剤師の転職先として、どんな職場があるのでしょうか?ここでは、薬剤師の典型的な転職先を簡単に紹介していきます。ただし、下記で紹介されている年収はあくまで平均で、地域や職場や時期によっても変わってきます。あくまで参考材料と考えてください。

調剤薬局



薬剤師の就職先としても転職先としても、最も多い求人先です。調剤薬局の転職先としての魅力は以下の点です。

調剤薬剤師の魅力

  • 仕事の大変さがない割に、給料はそこそこよい
  • 有給や長期休暇が取りやすく、勤務時間の融通もつきやすい
  • 調剤業務にかかわれるため、それなりにやりがいもある
  • 患者さんと直接接するため、自分の仕事の実感を持てる

年収は400万代後半から500万円代が多いです。仕事は以前よりは忙しくなりましたが(以前は、昼寝の時間を設けている薬局もあったそうです)、後で述べる病院よりは仕事も楽ですし、休みも断然取りやすいです。

調剤の仕事にも関われるし、ワークライフバランスを求める人には最適の職場です。


その反面、薬局で行う調剤は治療の最下流に当たるため、治療全体の中で自分の仕事がどういった位置づけなのか分かりづらく、自分の仕事の意義を見つけられないと感じる方もいます。

調剤薬局の求人動向

薬剤師の就職先・転職先として最も数が多い先ですし、パート求人数も同様です。今後も薬剤師の求人需要は続くと思われます。懸念材料としては、14年度診療報酬改定を経て調剤薬局の経営環境は以前よりも少し厳しくなりました。

まだ影響は小さいですし、求人の数自体は変わらないものの、将来的には薬剤師の給与が今後引き下げられる可能性も否定できません。

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薬剤師が調剤薬局へ転職する時の注意点は?

病院



薬剤師(および薬学生)に人気の転職先・就職先が、病院です。調剤薬局で薬剤師が読めるのは処方の内容だけで、それがどういう背景で書かれ、治療の中でどういった位置づけなのか分かりません。

ですが、病院薬剤師であればカルテを読む機会があるので、治療の中での投薬・処方の位置づけを直接確認でき、勉強になることが少なくありません。また、注射剤を扱えるのも病院薬剤師のだいご味でしょう。


病院勤務を通じて「勉強になる」と感じる薬剤師は少なくありませんが、デメリットもそれなりにあります。

病院薬剤師のデメリット

  • 仕事がハードな割に給料が安い
  • 有給や長期休暇が取りづらい
  • 病院内の立場が高くない

仕事がハードな割に年収は300万代から400万代前半であることが多いです。

これは、他の薬剤師の仕事と比較してもかなり低い水準です。そして、有給や長期休暇も取りづらいのでワークライフバランスは考えづらく、まして家庭との両立が難しい場合もあります(ただし、一部の病院では託児所などの施設を充実させている場合もあります)。


また、病院内はよくも悪くも医師を中心に組織が回っていきます。極端なことを言うと、医者の言うことは絶対で薬剤師はそれに従うだけ、といったケースも時々あります。自分の仕事が評価されないと感じる病院薬剤師の方も少なくありません。

病院薬剤師の求人動向

かつては、病院から薬局への転職はできても薬局から病院への転職はできないと言われていましたが、今では病院への転職求人数もそれなりに増えて転職のハードルが下がりました。ただし、先ほども書いた通り(給与が高くないけど)転職先としての人気は高く、調剤薬局やドラッグストアに較べて転職は難しいです。

今後の高齢化社会も見据えると、求人数は少しずつ増えていくと思われます。

<関連記事>調剤薬剤師から病院薬剤師への転職は大変?


ドラッグストア(調剤薬局と併設の場合あり)



求人数は多いし転職しやすいものの、薬剤師からの人気がいまいちなのがドラッグストアです。メリットは、若手でも初任給がそこそこ良い(月給30万も珍しくありません)のと、患者さんと接する機会がどの職場よりも多いため、コミュニケーションが好きな方にはオススメかもしれません。

また、店舗数が多いので、自宅からより近い場所で働きたいという方には向いているかもしれません。


ただし、仕事の大半はレジ打ち・棚卸し・商品陳列など薬剤師とは関係のない仕事内容で(調剤薬局を併設していない場合はその傾向が顕著)、スキルアップという点では物足りなさを感じるかもしれません。

また初任給こそよいものの、その後の昇給はあまり期待できず、トータルで見た給与はそこまでよくありません。転職市場でのドラッグストアの提示年収は、400万代前半から600万代前半が多いです。

ドラッグストアの求人動向

今後もドラッグストアの出店意欲は旺盛ですので、今後の薬剤師の求人需要はあるでしょう。ただし、棚卸やレジ打ちなど雑用をやらされることも多く、求人先としての人気は今後もいまいちでしょう。初任給はよいものの、その後の昇給が期待できないのも人気がない理由の一つです。

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ドラッグストア薬剤師へ転職の前に知っておきたいことは?

製薬会社(研究・開発・MR)



薬剤師の転職先でも、特に花形なのが研究職・開発職です。薬剤師の仕事の中でも一段上に見られることが多いですし、生涯獲得賃金も最も高いのもこれらです。ですが、転職先としては極めて狭き門です。

大手製薬会社の研究職の大半は東大・京大(といった一流大学の)の博士号取得者です。開発職でも大半が大学院卒です。年収は800万から1千万と言われていますが、最近はどこの製薬会社も業績が厳しいため、給料は上がりづらい傾向にあります(加えてリストラもあります)。前職でそれなりの実績を上げていないと、転職自体が厳しいでしょう。


転職先としてハードルが低いのは、営業つまりMRです。成果主義のため、実績がよければ年収が1千万を超えることもありえます。ただし、MRに求められるのは薬学・薬剤の知識というよりもコミュニケーション能力や根性である場面が多いです。

医者と3分話すために病院の入り口に3時間待ち続けることを厭わない精神力が求められるため、給料の高さだけで転職しても仕事を続けられない可能性があるので要注意です。

製薬会社(研究・開発)の求人動向

昔も今も薬剤師の求人先として人気のある製薬会社ですが、現在ではかつてないほど転職が難しくなっています。一つには、大手製薬会社が「パテントクリフ」と呼ばれる大型新薬の特許切れが相次ぎ、収益力が急速に低下しているためです。

加えて2000年代に入って、新薬の開発が難しくなってきており、製薬会社は新たな収益の柱も見つけられていない状況です。

こうした背景を受けて、外資系製薬会社は相次いで日本の研究拠点を閉鎖しました。そのため、そうでなくても求人数を減らした国内の製薬会社に対して応募が殺到するようになり、製薬会社への就職・転職は一層難しい状況です。

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薬剤師、研究・開発職への転職は?

製薬会社(MR)の求人動向

成果を挙げれば病院では考えられないほどの高給を取れるため、かつては薬剤師資格保有者にとって人気の求人先でしたが、仕事にやりがいを感じられない薬剤師も多く(MRに薬剤師資格はいらない)、以前ほどの人気はありません。

また、製薬会社と病院の癒着問題からMR活動に対する議論も始まっているため、この点もMR不人気の要因になっています。


製薬会社(研究・開発・MR)以外の企業



ここでは製薬会社の「研究・開発・MR」以外の仕事の転職先、または製薬会社以外の転職先について簡単に紹介します。ただし、以下で例示している年収は会社によって水準がバラバラですので、あくまで目安と考えてください。

CRA(勤務先は治験の開発受託会社)

製薬会社から委託を受けて、新薬の臨床開発(というより治験のアレンジ)を行う仕事です。製薬会社の開発職に較べれば、やや転職しやすい(とはいえ門戸は狭い)求人先です。新卒であれば年収400万代ですが、平均年収は600~800万代です。

薬剤師の職種の中では比較的高給で、勤務先も大企業が多く福利厚生がしっかりしています。ただし、残業がそれなりに多いのと出張も頻繁に入るので、その点は前もって覚悟しておく必要はあります。

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CRAの仕事紹介

学術業務(勤務先は主に製薬会社)

医薬品の最新情報を情報収集してレポートをまとめ、それらを報告書の形で各関連部署(たとえばMR)に届ける仕事です。また場合によっては、取引先の医師や薬剤師からの電話応対の仕事もあります。

年収は600万ほどでそれほど高くもないですが、残業はあまりありませんし、負担は少ないでしょう。ただし、求人自体が少ないのが難点です。

品質保証・品質管理(勤務先は主に製薬会社)

医薬品の製造過程でのソフト面・ハード面からの整備を通じて、製造する医薬品の品質改善を目指すのが「品質保証」業務です。クレーム対応もします。「品質管理」業務は、医薬品の製造工程や原材料を検査し、またはサンプルの状態を確認することで、医薬品の欠陥品が出ないように管理する業務です。

年収は400~600万代が多いようです。

薬事申請業務(勤務先は製薬・治験関連企業)

新薬の承認申請のための書類作成業務です。承認申請の書類手続きを行ったり、厚生労働省からの質問に回答したり申請業務全般を行います。RA(Regulatory Affairs)職とも呼ばれる仕事ですが、求人自体が極めて少ないです。年収は400~700万程度の場合が多いようです。

製薬会社(研究・開発・MR)以外の企業の求人動向

先ほども書いた通り、これらの職種の求人数は少なく、今後も求人が増える見込みはありません。とはいえ狙い目もあります。唯一今後も伸びが期待できるのはCRA(臨床開発モニター)です)。これは、製薬会社が社内の「臨床開発」をアウトソーシング(外部委託)する動きが加速しているためです。

CRAの転職先として挙げられるのがCRO(治験支援会社)です。この辺については、転職エージェントに相談するとよいでしょう。


薬剤師の転職先を表でまとめました

それでは、今までの説明を踏まえて、薬剤師の転職先である調剤薬局・病院・ドラッグストアの特徴を表にまとめます。なお、企業は求人数がすくないことと、会社によって待遇の状況が全く異なるため省略しました。

調剤薬局 病院 ドラッグストア
年収 400万後半から500後半 300後半から400後半 500前半から600前半
昇給 それなりにある 少しある あまりない
仕事のやりがい ある すごくある あまりない
転職の難易度 普通 難しい
勉強になる なる すごくなる あまりならない
仕事の大変さ 普通 すごく大変 それなりに大変
夜勤 なし あり なし
パートの求人 多い 少ない 多い

  • 薬剤師として成長したい・やりがいを求めるなら病院
  • お金を求めるならドラッグストア
  • 家庭と仕事を両立させたいなら調剤薬局

皆さんが転職先を検討するにあたって、活用してもらえたらと思います。ところで、転職をする上では転職支援会社を活用した方が、より有利な条件で転職できます。以下では、薬剤師に特化したオススメの転職支援会社を紹介しているので、参考にしてください。

薬剤師の転職にオススメの求人サイトは?



薬剤師の転職にオススメのサイトを2社紹介します。一社は、薬キャリです。業界最大手ということもありますが、担当者の親身な相談には定評があります。単なる転職支援だけでなく、今後のキャリアの相談にも乗ってもらえる心強い会社です。転職活動ではぜひ登録しておきたい一社です。

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オススメのもう一社はリクナビ薬剤師です。薬剤師の就職・転職活動で登録者数のNo.1の会社です。人気の秘密はその求人数の多くで、公開・非公開も含めて数多くの薬剤師求人を揃えています。担当者のサポートは薬キャリには負けますが、やはり抱えている求人数は魅力的です。併せて登録しておきたい一社です。

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 薬剤師のオススメ転職サイト、人気ランキング


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