薬剤師のキャリアアップのひとつに、海外での勤務がります。
海外では、日本よりも薬剤師の専門性が高く評価されている国も少なくありません。
日本で免許を取得した薬剤師が海外で勤務する際、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
世界各国の薬剤師の社会的地位や賃金の目安、業務内容とあわせてご紹介します。
目次
薬剤師、海外ではどんな働き方をしているの?
働く地域によって、薬剤師の社会的な地位や業務内容は大きく異なります。
代表的な国々や地域における薬剤師の働き方を紹介しましょう。
アメリカの薬剤師
アメリカでは、日本のような公的医療制度がありません。
各自が私的な医療保険に加入するため、薬については処方薬よりも市販薬(OTC)のほうが一般的です。
そのため、ドラッグストアに勤務する薬剤師の数は非常に多く、「身近な薬の専門家」として非常に高い社会的評価と信頼を得ています。
待遇面もそれに比例しており、一般的な給与相場は日本の倍以上です。年収相場は800万円~1300万円程度が平均となっています。
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ヨーロッパ諸国の薬剤師
国によっても制度は異なりますが、ヨーロッパにおいても専門職として高い地位が認められています。
特にイギリスでは、日本の管理薬剤師のようなスペシャリスト制度があるため、より高度な専門的知識・技術を身に付けることも可能です。
また医師の指示による調剤だけでなく、薬剤師独自の裁量が大きいことも特徴です。
ヨーロッパにおける薬剤師の賃金水準は700~800万円程度で、勤務先は調剤薬局やドラッグストアが代表的です。
アジア諸国の薬剤師
アジアでは、薬剤師は難関資格のひとつとなっています。
資格取得後も実務経験に応じて細かな上位資格があり、ハイレベルの薬剤師ともなると医師以上の好待遇も珍しくありません。
社会的にもいわゆるエリートとみなされ、年収も一般的なサラリーマンの2~3倍にもなるようです。
アジア圏の薬剤師免許は、欧米諸国と比べるとハードルが低めの傾向があります。
チャレンジしやすい地域のひとつかもしれませんね。
中国では漢方などの東洋医療に関する知識も求められるので、そちらの分野の専門性を高めることも可能になるでしょう。
海外でも薬剤師として働ける?
日本の国家試験で薬剤師免許を取得した場合、そのまま海外でも働けるのでしょうか?
日本の薬剤師資格は通用するの?
残念ながらほとんどの国では、日本の免許では薬剤師として働くことはできません。
現地で所定のカリキュラムや試験を受け、新たに薬剤師免許を取得する必要があるのです。
どのような条件が課せられるかは国や地域によって差があり、一から大学に通い直さなければいけない国もあれば、所定の実習や研修をクリアすれば資格が与えられる国まで様々です。
職場はどんなところがある?
薬剤師の職場は、日本と大差はありません。
病院や調剤薬局、ドラッグストア、製薬会社などが一般的でしょう。
日本人の薬剤師が海外で活躍する場合、その多くが「日本語が必要になる」職場です。
いわゆる「日本人街」や観光地では、症状や病名を日本語で伝えられる日本人薬剤師は非常に頼れる存在です。
また、国際慈善事業として活動する選択肢もあります。国境なき医師団や青年海外協力隊などが代表的でしょう。
ワーキングホリデーってどんなもの?
海外で働く場合、多くの国では労働ビザの取得が必要です。ところが国によっては、これが簡単には取得できません。
そこで検討したい制度のひとつに、「ワーキングホリデー」があります。
ワーキングホリデーとは、休暇として訪れた現地でアルバイトなどの軽微な労働が認められる仕組みのことです。
ワーキングホリデーを利用すれば、観光ビザでの就労が可能になります。
労働時間や賃金などに制限がありますが、選択肢のひとつとして検討してみるのもいいかもしれませんね。
ワーキングホリデーを利用できる国は限られており、イギリス・フランス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・台湾・韓国などが代表的な国となっています。
これらの国での薬剤師勤務に興味がある人は、本格的な海外勤務の準備段階として利用してみるのもおすすめです。
なお、2018年現在ではアメリカではワーキングホリデーは認められていません。
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薬剤師として海外で働きたい!どんな準備が必要?
薬剤師として海外勤務をする上では、越えなければいけないハードルがいくつかあります。
その中でも特に重要なのが、「語学力」「現地資格の取得」「労働ビザの取得」の3点です。詳しく見ていきましょう。
その1:語学力を磨く
海外では、患者と薬剤師との距離は日本よりも近いのが一般的です。
また薬剤師の判断で、薬の処方を行える国もあります。
このように、薬学のスペシャリストとして働く際に欠かせないのが語学力です。
患者の症状や既往歴を正しく理解するためには、必須のスキルとなるためです。
薬学分野の専門用語だけでなく、患者と信頼関係を結べるだけの日常会話レベルも求められます。
英語で言うと、TOEICやTOEFLで満点に近いくらいのハイスコアでなければ、スムーズな業務は難しいかもしれません。
また母国語が英語以外の国では、英語と現地の言葉を両方習得する必要があると考えましょう。
高いハードルのようですが、日本語と併せてトリリンガルになれれ、ばかなりの好待遇が期待できます。
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その2:現地の薬剤師免許を取る
日本の薬剤師免許だけで働ける国はほとんどありませんから、各国の規定に基づいて現地の免許を取得しましょう。
試験だけ受かればよい場合と、大学の修了や実務実習が必要なところがあるので、事前にしっかり確認しておきます。
薬品に関する知識だけでなく、その国の医療制度や法体系なども一定程度は学ばねばなりません。
実際に薬剤師として勤務するまでに数年間かかる場合もありますから、経済面での計画も必要です。
薬剤師免許を取得するためには、数か月~数年は現地に留学することを念頭においてください。
「資格取得までの学費や生活費は足りるか?」「利用できる奨学金や助成制度などはないか?」などもチェックしておきましょう。
その3:労働ビザを取得する
ビザとは、その国に滞在する許可証のことを言います。観光・就学・労働など、目的に応じて分類されています。
観光の場合はビザが不要な国もありますが、働く場合は多くの国でビザの発行が求められます。
ビザは、100%発行されるものではありません。
特に労働ビザは発行に関する基準が高く、雇用先がしっかり確保されていなければ申請が通らないケースがほとんどです。
もちろん「薬剤師」として労働ビザを申請するには、現地の薬剤師免許を取得していることが前提になります。
それ以外にも、一定の語学力や就労先が確保されていなければなりません。
ちなみに、薬剤師資格を取得するために海外へ滞在するためには、就学ビザの申請になるので勘違いしないようにしましょう。
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- 薬剤師の社会的地位や賃金は、日本よりも海外のほうが高い傾向がある
- 日本の薬剤師免許だけでは就労できない国がほとんど
- 現地の薬剤師免許の取得方法は国によって異なる
- 薬剤師の資格取得までは数年かかるケースもある
- ネイティブ並みの語学力が求められることが多い
- 薬剤師として働くためには、勤務先を確保したうえで労働ビザを申請する
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