薬剤師が地方で人手不足?その理由は?

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6年制の教育課程を修了し、国家試験に合格してやっとなれる薬剤師。

薬剤師への道は決して平坦なものではないので、国家試験に合格した後にスムーズに就職できるかどうかという点は、薬剤師を目指す多くの方が心配しているポイントではないでしょうか。


何年も前から「供給過多になるのでは」と言われていた薬剤師の数ですが、2018年現在、未だに足りていません。

薬剤師不足の現状や原因を確認し、就職・転職の際の影響を考えてみましょう。


薬剤師の人手不足、いつまで続くの?

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薬剤師を目指す方や、現在薬剤師として活躍している方は、一度は「近い将来、薬剤師の供給過剰による就職難が訪れる」といったことを聞いたことがあるのではないでしょうか。

その一方で、あらゆる場所で「薬剤師が足りない」という声を聞くこともあります。では、薬剤師の求人状況は、現在どのようになっているのでしょうか。

「薬剤師過剰の時代が来る」はウソだった?

「薬剤師が就職難に陥る」という予想は、20年ほど前からずっと言われ続けています。

薬剤師の就職状況がこのように予想される理由は複数あります。


まず、薬剤師は国家資格が必要な職種であり、高収入かつ安定した生活を望めることから志望する人が多いということです。

また2006年に薬学教育6年制がスタートしたことにより、薬学系の大学や学部・学科が急増したことから、薬剤師を目指す人数も増加したことも挙げられます。


これらの要因により、薬剤師の数が年々増加すると考えられたことから、「薬剤師過剰の時代が来る」と予想されたのです。

実際に薬剤師の数は年々増加し続けており、2000年には約21万7000人だった薬剤師の数は、2016年には約30万1000人となっています。

薬剤師不足は解消した?現状は?

薬剤師の数が年々増加しているということは、いずれは薬剤師不足が解消し、需要と供給が逆転して薬剤師が供給過多になると誰しもが思うことでしょう。

しかし実際には、現在でも薬剤師不足は解消していません。


薬剤師の求人は絶えることがありません。全職種の求人倍率が1.37倍であるのに対し、薬剤師の求人倍率は10.05倍となっています。

つまり、1人の薬剤師に対し、約10件の求人があるということになります。これは医師の求人倍率にも匹敵する数値です。


一般事務職の有効求人倍率は0.30、販売職は0.99、看護師・保健師でも2.90となっていますので、いかに薬剤師の求人が多く、人手が足りていないかが分かるでしょう。

薬剤師が増加し、30万人を突破しても、現状では人手不足の職場がほとんどなのです。

<関連記事>:薬剤師を取り巻く環境は?

薬剤師が足りないと、どんな弊害があるの?

薬剤師が不足している職場でも、1つの薬局が抱える仕事の量は変わりません。

そのため、薬剤師1人当たりが行う仕事の量が増え、過重労働になる恐れがあります。


すると厳しい労働環境に耐えかねて、職場を離れる人が出ることもあります。

また忙しい職場を避けたいという心理から、求職中の薬剤師も人手不足の職場を避けがちです。


つまり業務の多さから離職者が出ても、その仕事を引き継いで担う人を確保できず、さらに1人当たりの業務量が増え、さらなる離職者が出るという負のスパイラルが発生してしまうということです。

薬局に勤める薬剤師の主たる業務は調剤業務であり、調剤業務は薬剤師法第19条によって薬剤師以外の者が行ってはならないと定められています。


薬局に勤務する薬剤師が不足し、薬局が運営できなくなってしまうと、調剤を行えないため、地域住民が薬を得ることができないといった影響が出てしまうのです。

<参考サイト>:薬局の人手不足が招く恐怖のシナリオとは?|東洋経済オンライン


増えたのに足りない?薬剤師不足の原因は?

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薬剤師は年々増加しているのに、なぜ人手不足となっているのでしょうか?薬剤師不足の主な原因を見ていきましょう。

薬局・ドラッグストア店舗数の急増

医薬分業が推進されたことや、高齢者の増加によって調剤の需要が増えたことから、薬局やドラッグストアの数が急増しています。

2010年には約4万9000件だった薬局の登録件数は2016年には約5万9000件と、6年間で約1万件の増加となっていますし、2010年に約5万6000軒だったドラッグストアの店舗数は、2013年までの3年間に約4000軒増加しています。


また、最近では薬局併設のドラッグストアも増加傾向にあります。

結果として薬剤師を必要とする職場が増え、薬剤師不足となっているというわけです。

薬剤師免許が不要な職場への就職

薬剤師の国家資格を取得した人でも、薬剤師の資格が必要な職場で働いているとは限りません。

薬剤師の約57%は薬局、約19%は病院や診療所などの医療機関といった薬剤師の資格が必要とされる職場で働いています。


一方、大学職員として働いていたり大学院生として勉学に励んでいたりと、大学に残っており調剤業務を行っていないという人も1.7%ほどいます。

また、約14%の人は、医薬品関係の企業に就職していますが、中には薬剤師としての知識を活かしているものの、薬剤師の資格自体は必要とされていない業務に就いている人もいます。


薬剤師の数は増えてはいるものの、薬剤師免許が不要な職場へ就職する人も多いため、調剤を行う薬剤師の人手不足が解消されないというわけです。

<関連記事>:薬剤師の適正人数は?配置基準の計算方法について

潜在薬剤師、休業薬剤師が多い

薬剤師は女性の割合が高い職業であり、薬剤師全体の約6割を女性が占めています。

そのため、結婚を機に薬剤師の仕事を辞めるなど、薬剤師免許はあるものの薬剤師として就業していない「潜在薬剤師」もいます。


潜在薬剤師の数は約9万人ともいわれており、20~40代の働き盛りの薬剤師も3割ほど含まれていると推測されています。

また女性が多い職場だと、産休や育休をとる人もいるため、人手不足になりやすいという特徴があります。


薬剤師は資格職であり、常に人手不足であるため復職はしやすいというメリットはあるものの、潜在薬剤師や休業薬剤師が多いことから、薬剤師不足がなかなか解消しないという実態もあるのです。


地方薬剤師の高収入、原因は人手不足以外にも?

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需要に対して供給が少なければ物の価格が上がるように、薬剤師の収入も人手が足りていないところでは高くなる傾向があります。

都心と地方では地方の方が人手不足になりやすいため、収入が高くなりやすいのですが、実は人手不足以外にも原因があるようです。

地方と都心、収入はこんなに違う!

薬剤師の収入は、地方と都心で大きく異なります。

例えば、東京都で働く薬剤師の平均年収は522万円、大阪府では495万円、愛知県では478万円となっています。


一方、福岡県では658万円、秋田県では651万円、群馬県では673万円となっており、100万円以上もの差がついています。

地方だからといって必ずしも都心より収入が高くなるわけではありません。


しかし、多くの場合、主要都市と呼ばれる3都市よりも、地方で収入が高くなる傾向があることを押さえておきましょう。

地方薬剤師が高収入になるのはなぜ?

地方薬剤師の収入が高くなりやすい理由は主に2つあります。

まず1つ目は、「単純に人手が足りていないから」です。人手不足の職場に薬剤師を呼ぶためには、収入などの待遇を良くしなければなりません。


もちろん、人手不足の職場の中には業務量が多いところもありますが、すべての職場が激務というわけではありません。

就職や転職の際には確認しておきたいポイントですね。


2つ目は、「地方の薬局の方が収益効率が良い」ということです。都心・地方に関わらず、薬の価格は同じです。

そのため薬局・医療機関側としては、土地代が安い地方の方が利益率が高くなるのです。


また地方では、薬局や医療機関と患者との結びつきが都心よりも強い傾向があります。

このことから、薬局や医療機関での売り上げも良くなり、薬剤師の給与に反映されるというわけです。

<関連記事>:薬剤師の年収は今後どうなるの?

地方薬剤師として働くのはあり?

薬剤師として高収入を目指すのであれば、地方薬剤師として働くことを視野に入れて将来設計するのもよいでしょう。

特に、福岡県、秋田県、島根県、鳥取県や、東京都を除く関東・甲信エリアは薬剤師の平均収入が高いエリアとなっています。


薬学部を持つ大学がないエリアは、薬剤師不足がより一層深刻であるため、高収入が期待できるでしょう。

ただし、その地域の風土や職場の雰囲気が自分に合うかどうかは、そのエリア・職場で働いてみないと分かりにくいです。


そのためいきなり正社員として働くのではなく、派遣として働くなど、自分に合った働き方で地方薬剤師として働き始めることをオススメします。


<この記事のまとめ>

  • 供給過剰と言われ続けている薬剤師だが、現在でも人手不足の地域・職場が多い
  • 薬剤師の数は増加しているが、薬局やドラッグストアが急増し、供給が追い付かない状況
  • 資格取得者でも薬剤師として働いていない人や、産休や育休で休業中という薬剤師もいる
  • 主要都市よりも地方で薬剤師不足が深刻なため、薬剤師の給与が高くなる傾向がある
  • 地方の薬局や医療機関は利益率が高いことも、地方薬剤師が高収入になる要因の1つ
  • 薬剤師で高収入を望む人は、自分に合った雇用形態で地方薬剤師として働いてみるのもアリ

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