無資格調剤の問題点と現状、課題について



無資格調剤は当事者や患者さんだけでなく、薬剤師にも重大な関わりがある問題です。厚生労働省は2015年(平成27)に「薬剤師以外の者による調剤行為」についての通知を発出しました。

この通知に対する反応はさまざまですが、今後に向けて慎重に熟考すべき問題であることはいうまでもありません。


ここでは厚労省が発出した無資格調剤に関する通知や、無資格調剤の問題点と課題をその現状と併せて見ていきたいと思います。


厚生労働省から出た無資格調剤の通知とは

厚労省通知の内容は?



厚労省が「薬剤師以外の者による調剤行為事案の発生について」という標題の通知を発出したのは2015年6月25日のことです。

以下にその内容を要約して箇条書きで紹介します。

・薬局における調剤業務は、「薬剤師でない者は販売または授与の目的で調剤してはならない」と薬剤師法で定められている

・今般、ある薬局で「薬剤師以外の者が軟膏剤の混合を行なっていた」ということが明らかになった

・「薬剤師以外の者が軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為」は薬剤師法に違反する

・たとえ「薬剤師による途中の確認行為があっても違反に該当する」

・「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の違反につながる行為でもある

・これらは「薬局に対する国民からの信頼を大きく損ねる」という点でも遺憾(残念)である

通知の文末では、調剤業務に関する規制の趣旨に基づいて、「薬剤師以外の者による当該行為(無資格調剤)の再発防止」に向けた薬局に対する適切な指導をお願いすると締めくくっています。

通知の発出元と宛先は?

通知の宛先は「一般社団法人 日本病院薬剤師会会長」「各都道府県・保健所設置市・特別区の衛生主管部(局)長」で、発出元は「厚生労働省医薬食品局総務課長」です。

日本病院薬剤師会は病院や診療所に勤務する医療従事者の薬剤師の団体、各自治体の衛生主管部(局)は地域の衛生(健康・医療・薬等)に関する管理を行なう部署を指します。したがって、この通知は院内薬局や院外薬局の監督・管理を行なう団体や部署に向けて出されたと考えていいでしょう。


通知の発出元の「厚労省医薬食品局」は医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、食品などを所管する部署で、現在は組織変更により「医薬・生活衛生局」と改称されています。ちなみに、この部署は薬剤師国家試験の所管(管理)も行なっています。

つまり厚労省の担当局が薬剤師会や自治体の責任者に対して、「管轄する病院内の薬局や一般の調剤薬局などに適切な指導をしてもらいたい」という通知なのです。


無資格調剤の問題点と現状、課題について



厚労省が上記のような通知を発出したのには理由があります。2015年5月11日の朝日新聞朝刊に次のような記事が掲載されたからです。

記事の内容は「大手の薬局チェーン店で、薬剤師が無資格の事務員に飲み薬の調製や塗り薬の混合等をするように指示をしていた」というものでした。その事務員は薬剤師の指示にしたがって調整や混合を行なっていたということです。

同記事では別の薬局でも「事務員が服薬指導をさせられた」という報道もされており、厚労省は国民の信頼を損ねる出来事として通知の発出に至ったと考えられます。

無資格調剤に関する法律

無資格調剤とは、薬剤師の国家資格を持たない者が調剤業務を行なうことを指します。

薬剤師法という法律では「薬剤師ではない者は、販売または授与の目的で調剤してはならない」(第19条)と定めています。当然のことながら、薬剤師でない者は無資格者ですので調剤はできません。


旧・薬事法(現・医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)では「薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局に勤務する薬剤師その他の従事者を監督し、その薬局の構造設備及び医薬品その他の物品を管理し、その他その薬局の業務につき、必要な注意をしなければならない」(第8条)としています。

ここでいう薬局の管理者とは管理薬剤師のことです。もちろん薬局の開設者(経営者・オーナー等)にも法律を遵守する義務があり、同法では「薬局解説者は、その薬局で調剤に従事する薬剤師でない者に販売又は授与の目的で調剤させてはならない」(第11条)と定められているのです。

無資格調剤の問題点と現状



法律的に見ても薬剤師以外の無資格者の調剤は違法です。しかし、厚労省通知の原因となった薬局だけでなく、さまざまな薬局で無資格調剤が行なわれているという話はよく耳にします。

無資格調剤を行なうのも主に薬局の事務員で、「薬剤師に指示された」「薬剤師から頼まれた」といったケースから、「経営者や店長に指示された」「やり方を指導された」というケースまでさまざまです。


無資格の事務員は、薬剤師法や薬事法に精通しているわけではありません。何となく「こんなことをしていいのかな?」と不安に感じても、自分が法律に違反しているとまでは気づいていない可能性があります。

しかし、無資格の事務員が法律をよく知らなかったとしても、無資格調剤を行なうのは法律違反と判断されます。その罰則は3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰則という重いものです。

指示をした薬剤師も罪になる?

薬局の事務員など無資格者に調剤をさせた場合、薬剤師も罪に問われる可能性があります。薬剤師が無資格者と知りながら事務員などに調剤させると薬剤師法違反になり、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰則が科せられる可能性があるということです。

自らが指示しなくても無資格調剤が行なわれているのを知りながら、その改善を行なわなかった場合も同様です。薬剤師法に違反していると判断されたら「薬剤師免許の剥奪」もあると考えなくてはなりません。

無資格調剤の課題とは?

朝日新聞で報道された薬局の無資格調剤は「氷山の一角」だという説があります。実際の現場では無資格調剤が当たり前という薬局も少なくなく、常習的に行なわれているという説です。

その主な原因は薬剤師不足と忙しさにあります。薬剤師だけで調剤を行なっていると仕事が間に合わない、処方箋がさばき切れないという現状が原因です。薬剤師を増やしたくとも求人の応募者が少なかったり、人件費の問題で雇えないという薬局が多いためです。


欧米ではすでにテクニシャン(調剤補助者)制度を採り入れており、薬剤師に代わって調剤業務などを担当する職業が定着しています。日本でもこうした制度が導入されれば薬剤師不足の解消に効果的とはいうものの、現状では実現に時間が掛かるといわざるを得ません。


無資格調剤が常態化しているような職場では薬剤師も責任を問われるリスクがあります。もし安心して働ける職場への転職を考えているなら、薬剤師を対象にした転職支援サイトを利用するといいですよ。

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<無資格調剤の問題点と現状、課題についてのまとめ>

  • 厚労省は無資格者の調剤に関する通知を発出した
  • 内容はある薬局で起こった無資格調剤の問題について
  • 無資格調剤は薬剤師法に違反しているので遺憾とのこと
  • 薬剤師会や自治体は薬局に適切な指導をしてほしいと依頼した
  • 現状では薬局事務員が調剤を手伝っているケースもある
  • 欧米のようなテクニシャン(調剤補助)制度が期待される
  • 法律に違反すると無資格者だけでなく薬剤師も罪に問われる

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