急性期医療での薬剤師の役割は?



ここ数年、急性期医療における薬剤師の役割が注目されています。急性期とは患者の生命に関わる状態を指し、緊急かつ集中的な治療を要する時期を指します。

このような事態に際しては医師や看護師だけでなく薬剤師が果たす役割も大きいのです。


急性期医療とは



急性期医療とは突発的な病気やケガで生命に関わる状態の患者さんに対する医療行為を指す言葉です。心疾患や脳疾患等の病気、災害や交通事故等のケガ、中毒や感染症などによって緊急的な診療が必要な患者さんを対象とします。

現状では急性期医療の明確な定義はなく、厚生労働省では概念の明確化を検討しているといわれています。ただし、今のところは不安定な状態の病態から、治療によってある程度の安定した状態に至るまでの診療を行なうのが急性期医療という解釈に留まっています。


一般的に急性期医療の対象となることが多いケースとしては、病気(心筋梗塞、脳梗塞、窒息、クモ膜下出血等)、事故(交通・転落・殺傷・スポーツ事故等)、急性の症状(腎不全、疼痛、熱傷、薬物中毒、感染症等)による重態の患者さんなどが挙げられます。

急性期の患者さんを扱う医療機関は24時間体制を取っており、最近では急性期医療に加えて「先進急性期医療」や「高度急性期医療」などを行なう医療機関も増えてきました。

医療の4つの分野

医療には「急性期」に加え「回復期」「慢性期」「終末期」の4つの分野があります。次に4つの分野について簡単に見てみましょう。

  • 急性期…緊急的な病気やケガで早急な治療が必要
  • 回復期…病気やケガが回復期に至っている
  • 慢性期…病気やケガだが生命の危機は少ない
  • 終末期…病気の状態が重く不治と診断されている

急性期医療の目的と役割

急性期医療の主な目的は、患者さんの病気やケガの進行を止めることです。早急な診療を行って症状の悪化を止め、危機的な状況を脱して回復が見込める状態(亜急性期)に至るまでの医療を提供します。

急性期の目安は病気やケガ等の発症(発生)から原則として14日間以内です。ただ、この期間についての特別な定めが設けられているわけではありません。


急性期を扱う医療機関では入院・手術・検査などを行ないます。対象となるのは救急を要する患者さんであるため、ICU(集中治療室)等の設備を備えた病院やセンターが多いという特徴もあります。

災害や集団感染症の発生時には地域の救急医療の拠点としての役割を果たすという目的を持つのも急性期の医療機関です。


急性期病院における薬剤師の役割は?



現代医療では急性期医療チームに薬剤師が不可欠な存在となっています。以下に急性期病院の薬剤師が果たす役割について見ていきましょう。

薬剤の適切な選択

急性期の患者さんには早急な治療が不可欠です。治療は医師の診断や諸検査から始まり、外科的な処置とともに適切な薬剤の投与が必要になります。

薬剤師は医師の判断に基づいて薬剤の準備をしますが、その際に適切な選択ができるよう意見を述べる役割も担っています。より良い薬剤の選択に併せて至適投与量の設定について判断を下し意見を表明する役割もあります。


薬剤の選択にはさまざまな要素が絡んでいます。患者さんの現在の状態、処置に対する判断、医師の目指すものに合致するか等々、即座に判断すべきか必要な確認を経ての判断にすべきかを見分ける能力も求められてくるものです。

これらを総合したのが薬剤の適切な選択に関わる薬剤師の役割といえるでしょう。

薬剤の使用継続の判断



急性期においては患者さんの状態は刻一刻と変化していきます。その状態の変化に伴って、現在使用している薬剤の投与を継続するか、または中止するかといった医師の判断に貢献するのも薬剤師の役割のひとつです。これは投与量の決定に関しても同様です。

患者の治療に対してイニシアチブを持つのは医師ですが、薬剤師は薬学療法の専門家としての立場から意見を求められることがあります。

薬剤の使用継続か中止か、投与量の継続か変更化についても同じことがいえます。薬剤師はこうした局面で専門家の立場から的確な意見を出す役割を担っているのです。

日常的な薬品管理

薬剤師は緊急の患者さんに即座に対応できるよう、日常的な薬剤管理を行なう必要があります。勤務先の医療機関の性質や過去のデータなどに基づいて薬剤をそろえたり、今後起こりうる可能性を予測して薬剤管理をしていくのも薬剤師の役割のひとつになります。

この業務に関しては薬剤師ひとりで判断するのではなく、チーム医療の一員としてミーティングなどの場で各スタッフと意見交換しながら進めていくことが求められます。

薬剤に関する情報管理

薬品管理は単に薬剤をそろえたり管理するだけではありません。さまざまな薬剤に関する情報を収集し、必要と考えられる薬剤の提案をする役割もあります。

その際は薬剤の有用性についてスタッフに説明したり、必要性について理解してもらえるようにすることも重要な仕事です。また薬剤師は薬物療法の専門家として、急性期医療に必要と考えられる新薬に関する情報をスタッフに伝える役割も担っています。


急性期病院で働くメリット・デメリット


メリット

・緊急の患者さんに対する薬剤の選択や投与量の決定などに迅速な判断力が養われる
・広範囲かつ専門性の高い病気やケガに対応するため、さまざまな薬剤や調剤の知識が得られる
・医療チームの一員として薬物療法の専門家としての立場から意見を述べるスキルがつく
・急性期の医療チームに所属するため、薬物療法以外の知識を得る機会が多くなる
・一般的な薬剤師と比べて急性期病院に勤務する薬剤師の収入や年収は高レベルになる

デメリット

・重篤な患者さんへの対応が主になるため、心身ともにハードに感じることが多い
・業務の特徴上、残業や夜勤が多くなるためプライベートな時間が取りにくい
・急性期医療は24時間体制で行なわれるため、勤務がシフト制で生活リズムが乱れる


急性期病院で働くには?



一般的な調剤薬局やドラッグストアに比較すると、病院薬剤師の求人は割合が低いという特徴があります。病院薬剤師の求人のうち、急性期医療に携わる求人数はさらに少なくなっています。

いささかハードルの高い急性期病院への就職・転職を成功させるには3つのポイントがあります。

1.急性期の薬物療法を勉強する

急性期医療に関する薬物療法の勉強をしておくと就職や転職に役立ちます。現場にとって経験のない職員を雇うのはリスクがあります。面接時に事前に勉強しておいた知識をアピールすることで就職や転職が成功しやすくなるのです。

2.精神力や体力を養っておく

急性期の現場では精神力・体力が不可欠です。薬剤師であっても緊急時でも冷静に判断できる精神力、ハードな労働に耐えられる体力が求められます。面接時には強い精神力や強固な体力をアピールできるようにしておきましょう。

3.非公開求人の情報を得る

急性期を含め病院薬剤師の求人のほとんどは非公開です。一般公開が少ないのは応募者が多いという理由、能力の高い人を雇用したいといった理由からで、求人情報自体を目にする機会が少なくなっています。

急性期病院に就職・転職したいなら、非公開の求人情報を得られる薬剤師限定の転職エージェントや薬剤師専門の転職サイトに登録しておいてください。


以上、急性期医療に携わる薬剤師についての情報を紹介してきました。

急性期医療を担うのは救急病院や救急医療センターなどの急性期病院です。こうした急性期を取扱う医療機関では、急性期の患者の薬物療法に対する知識や技能を持った薬剤師を求めています。


急性期病院で働く薬剤師の役割、そのメリットとデメリットを理解したうえで就職や転職を検討してみてはいかがでしょうか。

薬剤師で転職を効率的に進めたいなら、薬剤師限定の転職エージェント・薬剤師専門の転職支援サイトの利用がオススメです。こうしたエージェントやサイトを利用すると、貴重な非公開求人情報を知ることができるので、ぜひ活用してください。

<急性期医療での薬剤師の役割は?のまとめ>

  • 急性期医療は突発的な病気やケガで不安定な状態の患者を対象とする
  • ある程度安定した状態に至るまでの治療を行なうのが急性期医療
  • 薬剤師は患者に対する薬剤の適切な選択や至適投与量の意見を述べる
  • 薬剤の使用継続や中止に関する判断で医師に貢献する役割も担う
  • 急性期では迅速な判断力や広範囲の薬剤や調剤の知識が得られる
  • 一般の薬剤師よりも高収入、高年収が得られるメリットもある
  • 仕事で心身共にハードに感じたりプライベートの時間が取りにくい

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