薬価の「市場拡大再算定」制度について



医療用医薬品は国が定めた公定薬価によって値段が決まっており、薬価改定によって少しずつ値段が下がっていく性質を持っています。ところがその例外規定として存在するのが、「市場拡大再算定」制度です。この制度について、ここでは詳しく見ていきます。

通常は薬価改定とともに価格が下がっていく医薬品ですが、政府は製薬会社に対して2つのインセンティブを設けています。一つが「新薬創出・適応外役解消等促進加算」制度で、医療の質を高めるような価値のある新薬の開発を促すために、一部の品目については薬価を一定期間(大体15年ほど)据え置きます。

しかしその一方で、想定より売れすぎた医薬品に対して、薬価改定時に通常の下落幅を大幅に上回る薬価引き下げを行うことがあります。この制度を「市場拡大再算定」制度といいます。


ここでいう「売れすぎ」の定義は、当初予想された売上規模の2倍以上の売り上げとなり、かつ売り上げ規模が150億円を超えた場合を言います。該当の医薬品については最大で25%引き下げられますが、その類似商品でも最大で15%引き下げられます。なお、ここでいう引き下げは通常の引き下げに加算して、もう一段引き下げられることを言います。

14年度改定で、糖尿病治療薬では「グラクティブ」(小野薬品工業)・「エクア」(ノバルティスファーマ)・「ネシーナ」(武田薬品工業)などが、関節リウマチ治療薬では「ヒュミラ」(アッヴィ)・「シンポニー」(センセンファーマ)などが市場拡大再算定の対象医薬品になりました。

製薬会社・国のそれぞれの言い分

製薬会社は、新薬の研究開発を通じて患者の病気を改善させるという社会的な使命を持っていますが、同時に営利企業でもあります。開発した新薬が予想以上に売れたということは、それだけ医師や患者から高く評価されたということの証ですから、その分評価されるべきところです。一般の営利企業でしたら、これは売上増(=収益増)という形で彼らの努力が評価されます。

ところが、努力して開発したはずの新薬が、評価されればされるほど薬価を下げられるというのですから、製薬会社からすれば確かに酷な話です。実際、製薬の業界団体はこの制度に猛反発しており、「イノベーションの成果をもぎ取り、成長の芽を摘み取るものだ」と抗議しています。


一方で、政府の側にも言い分があります。一つは、薬価を下げることで確かに1品あたりの利益は落ちるかもしれないけど、売上の数量が出ている分、利益は十分に確保できているでしょ、という理屈です。

もう一つは、これだけ国民医療費や調剤医療費が増え続けているのだから、売れている(=利益が出ている)医薬品については医療費抑制に協力してよ、という理屈です。また、「新薬創出・適応外役解消等促進加算」でアメを与えているのだから、それでバランス取れてるじゃん、という理屈もあります。


業界団体による猛反発は今後も続くと思われますが、今後の医療費の増大を考えると、厚生労働省がこの制度を簡単に諦めるとも思えず、当面はこの制度が続くものと思われます。開発した医薬品が売れなくても困るし、売れすぎても困る。製薬会社のジレンマは今後も続きそうです。

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