薬剤師がブランク明けで再就職する場合、求人動向や就職後のことが気になるところです。そこで、ブランク明けの薬剤師の復職にはどんなパターンがあるのか、再就職を考えたときのポイント、その注意点などを分かりやすく紹介していきます。
目次
ブランクOKの薬剤師の求人動向は?
一定期間休業していた薬剤師が再就職するには、まず「ブランクOK」の求人を探すのが効率的な方法です。できればブランク明けでも仕事に付いていきやすいよう、研修制度が充実している就職先を探してください。
ブランクOKの求人数はどのくらい?
次の表をご覧ください。
正社員求人 | ブランクOK | 研修制度充実 | |
---|---|---|---|
調剤薬局 | 24,732 | 13,390 | 7,259 |
病院 | 3,684 | 1,855 | 703 |
ドラッグストア | 3,389 | 1,905 | 1,115 |
企業 | 729 | 440 | 210 |
上記の表は、薬剤師の再就職先別の正社員求人数を表したものです。うち、ブランクOKの求人は全体の半数以上を占めています。研修制度が充実した求人もほぼ半数近くあるので、それほど苦労しなくても見つけられるはずです。
以下にブランクがある薬剤師の再就職先別の求人動向を見ていきましょう。
調剤薬局は求人数が最も多い
ブランクOKや研修制度が充実した求人数が最も多いのは調剤薬局です。割合の高さではドラッグストアに及ばないものの、求人数自体が多いので再就職しやすい求人先といえます。ブランク明けの方が狙うなら、まずは調剤薬局がよいかもしれません。
ドラッグストアも研修制度が充実
次いで、ブランクOKの薬剤師の求人数が多いのはドラッグストアです。とはいえ、ドラッグストア(調剤併設型を含む)はハードな勤務先が多いので、転職自体は可能でも仕事を継続できるのかという問題はあります。もし転職するなら、調剤併設型の方がよいでしょう。
病院の研修制度充実度は低め
逆に病院はブランクありでもOKという求人は半数程度あるのに対し、研修制度が充実した求人は少なめです。病院への再就職では、あまり研修制度には期待できないと考えておきましょう。
企業はブランクOKの割合が高い
製薬会社などの企業は、最もブランクOKの薬剤師の求人割合が高くなっています。研修制度の充実割合はまずまずですが、求人数自体が少ないので再就職には苦労するかもしれません。
ブランク後の復職、3つのパターン
薬剤師がブランク後に復職(再就職)する場合、次の3つのパターンが考えられます。
(1) キャリアや給料を考えバリバリ働く
ブランク後といえども、薬剤師としての今後のキャリアや給料などの収入面も考慮し、フルタイムでバリバリ働いていくというパターンです。薬剤師不足が叫ばれる現在、より高い能力を身に着けてキャリアアップを目指せば、再就職後でも昇進や昇給をねらうことは可能です。
(2) 負担の少ない職場に就職する
薬剤師としてのブランクがあったことを考慮し、比較的負担の少ない職場に再就職するというパターンです。仕事量が多い、責任が重い、勤務時間が長い、残業が多いといったハードな職場は避け、体力的にも精神的にもリラックスして働ける環境を選ぶという方法を採る人は意外に多いのです。
(3) パートとして週3~4日働く
ブランク明け直後の時期はパートとして週に3~4日程度働くというパターンもあります。仕事に慣れるまでパートでという人や、家事や育児の都合を考えて無理をしないという人もいます。そのままパートを続けていくこともできるほか、状況が変化したらフルタイムに変えることもできます。
再就職を考える上でのポイントは?
薬剤師でブランク明けに再就職するなら、次のポイントに注目してみましょう。
キャリアや年収アップを目指す
薬剤師としてのキャリアアップ、年収アップを目指すなら、研修制度が充実している職場を選ぶようにしてください。
現在の医療や薬品は年々進化しています。わずか数年のブランクでも新しい医薬品が驚くほど多数開発されていたり、過去には一般的だった医薬品が販売されていない、現役だったころには「○○という病気には△△という医薬品を使う」といった常識が覆されているといったケースも珍しくありません。
また昨今ではカルテの電子化などパソコン(PC)の操作も必須になっており、コンピューターの知識やスキルも欠かせなくなっています。こうした点を考えると、研修制度が充実した求人先なら安心感があるのでポイントとして押さえておく必要があるわけです。
負担の少ない職場を目指す
ブランクがあって負担の少ない職場への再就職を目指すなら、クリニックの門前薬局がねらい目です。
中小の門前薬局は取り扱う薬剤の数も限られており、一般の商品の品ぞろえも少ないという特徴があります。さらにクリニックの門前なら単一の診療科の処方箋を調剤することになるため、ブランク明けの薬剤師でも大きな負担を感じずに働くことができます。薬局のオーナーや従業員と家庭的な雰囲気でゆったり仕事ができるという点ではおススメの職場です。
ただし、人数の少ない門前薬局では人間関係のトラブルなどのリスクもあります。自分に合う雰囲気であれば働きやすいものの、合わないようであれば続けるのがむずかしい場合もあるでしょう。できれば事前に下見などをしておきたいところです。
週3~4日のパートを目指す
薬剤師でブランクがあり、復職(再就職)するなら週3~4日のパート勤務が無難と考える人も多いようです。ポイントとして押さえておきたいのは、勤務スケジュールが自分の予定に合う求人先か、時給が希望に合っているか、月収・年収ベースで考えるとどうか、健康保険などの福利厚生はどうなっているのか等の点です。
これらの希望条件に合っている場合でも、薬剤師資格を活かせる仕事か、経験のあるジャンルか、休みが取りやすいのかといった「働きやすさ」にも注目する必要があります。パートなのに責任が重過ぎる仕事であったり、反対に雑用ばかりさせられる職場だと長続きしない可能性もあるので注意しましょう。
ブランク明け再就職の注意点は?
現在、薬剤師は深刻な人手不足です。たとえブランクがあっても求人先を探すのには、さほどの苦労をすることはないでしょう。それだけに再就職にはいくつかの注意が必要になります。
就職先に何を希望するか?
ブランクがあったからと消極的になって「この辺でいいか」と妥協したり、やる気があるからといって「少しでも給料の高いところへ」などと欲張るのは禁物です。
自分が薬剤師として就職先に何を希望するか、キチンと掘り下げてみてください。たとえば一般的に職場に求めるものとしては「仕事内容」「給与」「働きやすさ」「将来性」「サポート体制」などが挙げられます。既婚者であれば「家族の理解」や「家事・育児との両立」も考慮する必要があります。
もし迷ったら、冷静な視点から客観的に希望条件を絞ってみるのも良い方法です。
不要なプライドは持たない
国家資格を持つ薬剤師は患者さんやお客さんからの信頼を受ける職業です。この職業にプライドを持って仕事をするのは大切なことですが、行き過ぎると再就職先でも上手くいかないケースがあります。
特にブランク前の職場や地位にプライドを持ち過ぎていた場合、新しい職場に馴染めず辞めるという結果にもなりかねないので注意してください。過去は過去と気持ちを切り替え、これまでの経験を上手く活かす形で再就職先でも謙虚に行動する必要があるでしょう。
見かけだけの「ブランクok」求人に要注意
先ほども書いた通り、現在の薬剤師求人市場は深刻な人手不足です。このため雇用者側も薬剤師を集めるのに必死になるあまり、募集情報に甘い話を盛り込むこともあります。
つまり、それなりに忙しい職場ではあるものの、そのまま正直に求人募集をすると薬剤師が集められないため、「ブランクのある薬剤師歓迎」と求人先もあるのです。
こうした「偽装ブランクok」を見抜くためにも、職場の雰囲気を面接時に詳しく聞いたり、職場の見学をさせてもらうべきです。面接では見えてなかった職場の実情が分かることがあります。
転職エージェントを活用する
薬剤師のブランク明けの再就職でよくあるのが、「思っていたのと違った」「聞いていた話と違った」という失敗例です。仕事内容や給与、待遇などで後悔しないためにも、事前の情報収集はしっかりと行っておくべきです。
個人では求人先の情報が得にくいという場合は、薬剤師専門の転職エージェントを活用するという方法が有効です。転職エージェントには求人先のさまざまな情報が集まってくるだけでなく、気になる点や知りたい点を担当スタッフに相談することもできます。

- 調剤薬局はブランクOKの求人数が最も多い
- 病院は研修制度が充実していない求人もある
- ドラッグストアなら調剤併設型を選ぶべき
- 勤務先に何を求めるか、自分の中でキチンと整理すること
- ゆったり働きたい方は、クリニックの門前薬局がおススメ
- 職場の様子は面接や見学でしっかり見極めること
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