低分子医薬品とは?



医師や薬剤師でないと専門的に触れる機会は少ないと思いますが、「低分子医薬品」というものがあります。これはその名の通り、“分子量が低い(小さい)医薬品”です。どういうことかというと、この世の物質の最も小さい単位は「原子」であることは知っていると思います。


それ以上分解できない状態のことです。その原子が2つ以上組み合わさったものが「分子」です。身近に例えると、水素原子(H)2つと、酸素原子(O)1つとが組み合わさって水(H2O)を構成しています。水は原子が3つ組み合わさって1つの分子を構成しているということです。


医薬品の場合は、このような簡単な構成のわけにはいきません。数個から数百個、数千個以上もの原子が組み合わさってできています。ただ従来の医薬品では数十個の原子から構成されたものが主流でした。数十個の原子でできた医薬品の分子量は“小さい”領域に属します。

これが「低分子医薬品」です。低分子医薬品は構造が小さな分子であるがゆえに、体に吸収されやすい、組織移行性がよいという特徴があります。イメージとしては体内に薬剤を含めた“異物”が入っていく過程で、それぞれ網の目状の関門があるものの、分子が小さいとその網の目をくぐってより小さな組織にまで届くといったところでしょうか。


小さな組織にまで届くということは、臓器の疾患や局所的な疾患に効果を示しやすいということです。また組織に吸収された後は、血液にまで入っていくので、その作用を利用して目的とする効果を出すこともできます。このように聞くと低分子医薬品は非常にすぐれた医薬品のように聞こえますが、これらの特徴のための問題も起こるのです。

低分子医薬品は分子が小さいために小さな組織まで届くと言いましたが、それは本来目的としない組織や細胞にまで医薬品の作用が及んでしまう危険性があることも意味します。それによって起こるのが副作用です。分子が小さいために、狙った組織や細胞にまで薬物が届くのを完全に防ぐことはできません。


低分子医薬品において副作用を完璧に防ぐことはできないでしょう。低分子医薬品の作用としての特徴は以上のようなものがありますが、医薬品製造における特徴も持っています。まずは先にも述べたとおり、医薬品の分子量は数十個から数百個と低分子であること、医薬品の剤形としては錠剤が多いということです。

製造においてはほとんどが化学合成によって行われます。製造過程における安全や品質管理基準の試験はおよそ50種類ほどです。また別の側面からみた低分子医薬品の特徴として、“ジェネリック医薬品が製造されやすい”ということが挙げられます。ジェネリック医薬品とは先発品の特許が切れた医薬品のことで、開発していない医薬品メーカーでも製造、販売することが可能です。


低分子医薬品は分子量が小さいため、数百から数千もの原子の組み合わせによってできる高分子医薬品に比べて、同じ構造の医薬品を製造することが簡単です。こうした背景もあって、低分子医薬品が特許切れを起こした際には、何十社もの医薬品メーカーからジェネリック医薬品が発売されます。

それによって開発したメーカーは医薬品の売り上げを落とすことになるので、近年、資金力や開発力のある医薬品メーカーは高分子医薬品の研究、開発にシフトしています。もちろん低分子医薬品のすぐれたところ、得意分野というのがあるので、すぐに低分子医薬品がなくなることはありませんが、世界の医薬品の開発は高分子医薬品に重点が置かれ始めていることは念頭においておくべきでしょう。


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