薬剤師の方やこれから薬剤師を目指す学生の方であれば、一度は「地方勤務の薬剤師は高収入」という話を耳にしたことがあるでしょう。
では、実際はどうなのでしょうか?
地方勤務の薬剤師が高収入になりやすい理由や、高収入が得られやすい地域、薬剤師が田舎で働く際のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
目次
地方勤務の薬剤師は高収入?
一般的な会社員の場合、都市部の方が地価や物価が高いこともあり、地方よりも給料が高く設定されているケースが多く見られます。
では、薬剤師の場合はどうなのでしょうか?
田舎勤めなのに高収入なのはなぜ?
薬剤師の場合、都市部よりも地方の方が高収入となる傾向があります。
一般的な会社員と異なり、田舎勤めの薬剤師が高収入になりやすい主な理由として、「人員確保の難しさ」が挙げられます。
地方では、少子高齢化が都市部よりも速いスピードで進んでいます。
高齢者が多くなると、医療サービスを受ける人も増えるため、処方箋調剤の需要が高まります。
つまり、薬剤師の需要も多いということです。
しかし、田舎では雇用した薬剤師が長続きしなかったり、都市部やその近郊に多く展開している大手チェーン系のドラッグストアに薬剤師の雇用を取られてしまったりと、薬剤師が不足しがちです。
そのため地方の個人薬局では、少しでも高い収入を提示して薬剤師を確保しようとします。
これが、田舎勤めの薬剤師が高給になりやすい理由の1つというわけです。
薬剤師のお給料が高い地域は?
薬剤師の平均年収を都道府県別に見た場合、2017年度における上位3県は次のようになっています。
第1位 岩手県 (約742万円)
第2位 茨城県 (約614万円)
第3位 山口県 (約612万円)
2017年度の薬剤師の全国平均年収は約515万円です。
第2位の茨城県や第3位の山口県では全国平均よりも100万円ほど高くなり、第1位の岩手県に至っては、全国平均年収よりも200万円以上年収が高くなります。
では、都市部に勤める薬剤師の平均年収はどのくらいなのでしょうか。
東京都や大阪府、愛知県の平均年収を見てみましょう。
第12位 東京都 (約539万円)
第27位 愛知県 (約498万円)
第35位 大阪府 (約478万円)
これらの3都府県のうち、薬剤師の全国の平均年収を上回ったのは東京都のみでした。
大阪府や愛知県でも全国の平均年収を大きく下回るわけではありませんが、都心部と言われる地域の薬剤師平均年収は低めであると考えて良さそうです。
<参考サイト>:都道府県別 薬剤師年収ランキング(2017年版)| 薬キャリ
要注意!「地方=高収入」ではない
薬剤師の都道府県別年収ランキングの上位は都心部から離れた地域が占めているため、「地方勤務の薬剤師は高収入である」と思いがちです。
しかし、薬剤師の都道府県別ランキングの下位3県も都心部から離れた地域となっています。
「地方勤務=高収入」とは一概に言えないということに注意しましょう。
特に、その地域に薬学部がある場合、卒業後もそのエリアで働く人が多くいます。
このようなエリアでは基本的に人員が足りていますし、求人を出せばそれなりの数の応募が見込めるため、収入面で好条件を提示する必要がないのです。
地方勤務で高収入を狙っている方は、その地域の薬学部の有無にも着目することをおすすめします。
<関連記事>:薬剤師のお給料、手取りでどれくらい?
僻地で働く薬剤師、どんなメリットがある?
地方勤務の薬剤師は、地域によっては高収入も見込めるというメリットがあります。
では、その他にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
のんびり仕事ができる
都心部から離れた地域では、都心部の人口よりも少ないのが一般的です。
患者さんの数も少ないため、それほど忙しくない職場も多く、のんびりと仕事ができることも多いのです。
また患者さんの数が少ない分、1人1人の患者さんにより深く関わることができます。
患者さん以外の地域の人たちと親しくなることもできるので、多くの人と関わりを持ちたいという人にとっては大きなメリットとなるでしょう。
ただし、人手不足の職場など、場所によっては都心部での勤務よりも激務になる可能性もあります。
転職活動の際には、収入だけでなく勤務体系や残業時間等もしっかり確認しておきましょう。
家賃・物価が安い
都心部よりも家賃や物価が低いということも、地方勤務の魅力の1つです。
地域にもよりますが、都心部の半額程度の家賃で同程度の部屋に住める場合もあります。
収入が高くなる一方、生活にかかる費用が減るため、貯金をしたり趣味にお金を使ったりと、都心部で勤務するよりもゆとりのある生活を送ることができます。
また住宅手当をもらえたり、引っ越し費用が会社負担だったりと、福利厚生が手厚い職場も多く見られます。
高収入かつ物価が低い上に、福利厚生も整っているのは大きなメリットですね。
<関連記事>:薬剤師転職の最新事情と転職先を比較してみた!
プライベートで自然を満喫!
忙しい毎日を送る多くの薬剤師にとって、休みの日の休息や余暇に使う時間は非常に重要です。
都心部にもさまざまな娯楽がありますが、木や草花、海や川といった自然に癒されたいという人も多いのではないでしょうか。
自然を身近に感じる生活をしたい方には、地方勤務はピッタリでしょう。
また、「マリンスポーツが好き」「ガーデニングや家庭菜園にチャレンジしたい」といったように、屋外での趣味を楽しみたい方にも、地方での生活はおすすめです。
都心部でも不可能ではない趣味も多いですが、好きなスポーツや趣味がいつでも思い立った時にできるという点で、地方の方が便利とも言えるでしょう。
プライベートも存分に楽しむことができるのが、地方勤務の魅力の1つというわけですね。
地方勤務の薬剤師、デメリットや注意点は?
薬剤師の地方勤務にはメリットがたくさんありますが、その一方でデメリットも存在します。
では、どのような点にデメリットを感じる人が多いのでしょうか。
地方勤務を考えるときの注意点を確認していきましょう。
不便な暮らしを強いられる
薬剤師が地方で勤務する際の大きなデメリットの1つとして、利便性の悪さが挙げられます。
都心部から離れた地域では、都心部ほど公共交通機関が発達しておらず、電車やバスがほとんど来ないというエリアもあります。
また、スーパーなど生活に必要な施設までの距離が遠かったり、遊びに行く場所が限られていたりと、都心部と比べるとかなり不便な暮らしになることは否めません。
さらに、地方は都心部よりも人口が少なく、地域の人々との関わりも密接になりがちです。
人と関わることが好きという方は特に問題なく過ごせますが、濃い人間関係を築くのが苦手な方は苦痛に感じることもあるかもしれません。
キャリアアップしにくい
大きな病院がない地域では、難病や珍しい症例の患者さんと関わることも少なく、薬剤師の毎日の仕事は同じことの繰り返しになりがちです。
また、新しい情報を入手しにくい、周囲から良い刺激を受けにくいなどの理由から、薬剤師として成長できないのではないかと不安になる人もいます。
薬剤師の地方勤務は、大きなやりがいを感じられる仕事ですが、ステップアップやキャリアアップには向かないということに注意が必要です。
今後のキャリアアップのために転職したいと考えている人は、都心部にある職場や、地方にある職場でも刺激が多くキャリアアップが望めそうな場所を選ぶことをおすすめします。
<関連記事>:薬剤師のスキルアップ資格は?
求人を見つけるのが難しい
薬剤師が地方で勤務するには、まず求人を見つける必要がありますが、この求人を見つけることが非常に難しいのです。
その地域のドラッグストアや薬局のチェーンなどは比較的見つけやすいのですが、小さな調剤薬局などの場合、費用の問題から求人サイトには掲載できないというケースもあります。
各自治体のホームページに掲載されていることも多いのですが、それぞれを1つずつ見ていくのも大変ですよね。
なかなか見つけることができない求人を効率よく探すには、薬剤師専門の転職サイトに登録するのがおすすめです。
薬剤師専門の転職サイトに登録すると、薬剤師の転職に詳しい転職エージェントに相談することができ、自分に合った求人を紹介してくれます。
求人情報の少ない地方への転職でも、効率良く情報を集めるのに役立ちますので、上手く活用するようにしましょう。
- 地方では人員確保が難しいため、薬剤師の年収が高くなる傾向がある
- 収入は地域差が大きく、需要が少ないエリアでは高収入が見込めない場合も
- 地方ではそれほど忙しくない職場も多く、自由に使えるお金も多くなりやすい
- 不便な暮らしが苦手な人やキャリアアップを望む人には向かない恐れもある
- 地方の求人探しは大変なので、薬剤師専門の転職エージェントを活用しよう
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