薬剤師、英語をいかして転職したい



薬剤師という仕事自体は、基本的に国内で完結する仕事ですが、英語力が必要とされる場面が意外に少なくありません。

すでに英語力があり、どうせなら英語力を活かして有利な転職をしたいという薬剤師の方もいるでしょうし、英語力はまだそこまでではないけど、仕事を通じて英語力も身に着けたいと考えている薬剤師の方もいるでしょう。

ここでは、薬剤師の英語力を活かした(ないし身に付けられる)転職活動について紹介します。


どんな仕事・転職先があるか?

薬剤師が英語力が活かせる職場として、どんな勤務先があるでしょうか?大まかに言うと、英語が活かせる職場は調剤薬局と企業に分類できます。ですがここでは、仕事内容に応じて3つに分類して説明します。

調剤業務・服薬指導(調剤薬局)

一つ目は、調剤薬局です。といってもどんな調剤薬局でも良い訳ではなく、お客さんに外人が多い調剤薬局になります。

このため、その勤務先も都内でも外人の多い場所、たとえば六本木や大手町、恵比須など一部の地域に限られます(地方都市でも外国人のお客が多いところなら求人はあります)。


英語力が必要になるのは、服薬指導、つまり外人の患者さんとの対話の場面です。ですので英語での会話力はある程度必要になります。病気の症状やクスリ・成分の名称など、ある程度のことは英語で対応できるようにしておく必要はあります。

逆に、調剤業務や処方箋の読み込みなどでは英語を使いませんので、ライティング力やリーディング力は必ずしも必要とされません。年収は400万前半から500万後半の金額が多いです(正社員薬剤師の場合)。

後でも触れますが、この年収幅は一般の調剤薬局の待遇と変わらず、英語のスキルが年収に反映させるのは難しいかもしれません。

学術・薬事(製薬会社・医療機器メーカー)



2つ目は、学術業務・DI業務・薬事業務(薬事申請や品質保証・品質管理など)に関わる仕事です。勤務先としては、製薬会社やCRO(治験支援会社)、医療機器メーカーがあります。

学術業務(DI業務含む)では、副作用情報の収集や添付文書の作成、国内・海外の症例評価などが仕事として挙げられますが、これらの業務の過程で英語を使う機会が少なくありません。特に海外の臨床試験ではその資料は全て英語ですので、英語での読解力は必須です。


海外の担当者とのやり取りはメールで済ませられるので英会話力は必ずしも必要ありませんが、メールは英語で書く必要はあります(つまりライティング力も求められます)。

薬事業務(薬事申請、品質保証など)でも事情は同じで、海外の症例を収集したり、海外の担当者とのやり取りが求められるので、英語のリーディング・ライティング力はともに必須です。


また、外資系企業の場合は、レポートライン(上司、ないし上司の上司)への報告も英語で行う必要があるかもしれず、会話力が要求される場合もあります。転職のための英語スキルは後ほど取り上げますが、中にはTOEIC800点以上を要求する会社もあります。

年収は会社によって違いますが、低いところは300万代後半、高いところだと800万円代も期待できます。ただし、高年収の求人ほど高い英語力に加えて、キャリアや経験が要求されるのは言うまでもありません。

<関連記事>
薬剤師の仕事、DI業務とは?

薬剤師、外資系企業の給料・求人は?

臨床開発モニター(製薬会社・CRO)

3つ目は、治験をモニタリング・監視する仕事、つまり臨床開発モニターです。勤務先としては、製薬会社やCROが挙げられます(求人の比率でいうと、CROの方が多いです)。

複数の会社でまたがる治験業務を取りまとめる仕事で、新GCP(医薬品の臨床試験に関する基準)プロトコル(治験実施計画書)に基づいて治験が行われているかを監視・管理します。


海外症例など英語での資料も多いですし、国際共同治験の場合などは各国担当者と連携して仕事を行う必要があるため、高いコミュニケーション力(と英語力)が求められる場合もあります。外資系企業の場合、社内でのコミュニケーションも英語で行う必要があるのは、学術・薬事業務と同様です。

年収は会社によって違いますが、400万代から800万円代が一般的なゾーンです。ただし、CRA(臨床開発モニター)として未経験の方は300代後半になることもあります。

<関連記事>
薬剤師からCRAへの転職、注意点は?


どの程度の英語力が必要?

これはどの職場で働くかによっても違ってきます。先ほど書いた通り、調剤薬局で要求されるのは外国人の患者に服薬指導ができる英会話力です。

必ずしも難しい単語を使う必要はなく(といいますか、むしろ使わない方がいいでしょう)、相手の病状を確認したり、クスリの薬効や服薬上の注意点を分かりやすく説明する必要があります。

ですので、必ずしも高度な英語力は必要ありませんが、「外人と会話すること」に対する苦手意識は、克服しておいた方がよいかもしれません。




企業に転職する際に、英語力の指標としてよく使われるのが「TOEIC」(トーイックと読みます)です。トーイックとは、ビジネスの現場で使われるであろう英文・英会話を理解するための試験で、会社員が自分の英語力を図るためによく利用します。

満点が990点ですが、800点以上であれば英語での高度なやり取りができるとされ、700点以上でやや難易度の高いコミュニケーションが取れる、600点以上で基本的なコミュニケーションが取れる点数とされています。

<関連サイト>
TOEIC|コミュニケーション英語能力を測る世界共通のテスト


企業への転職の際には、このトーイックで一定以上の点数を要求されることが少なくありません。会社によって異なりますが、800点以上のトーイックを要求する会社もあれば、700点以上や600点以上を要求する会社もあります(しない会社もあります)。

ですので、企業への転職を将来的に考えている薬剤師の方は、一度トーイックを受験することをオススメします。試験で使われる英単語はビジネス用なので、薬学用語に慣れた薬剤師の方からすれば違和感があるかもしれませんが、海外の担当者とのやり取りではそうしたビジネス英語の知識も必要になります。


一方で新人の(未経験の)CRAであれば、そこまでの英語力は要求されないこともありますので、仕事をこなしながら英語力を磨くという方法もあります。

転職活動での注意点(調剤薬局の場合)

先ほど、どの程度の英語力が必要かは職場によって違うという話を書きました。これと同様に、実際に業務でどの程度の英語を使うかは求人情報を慎重に見極める必要があります。

その典型例が調剤薬局での求人で、「外国人の患者が多いので、英語力が身に着く職場です」といった求人情報を出しておきながら、実際には外国人の客(患者)はほとんどいない、といったことがあります。


これは、求人情報に「英語力が身に着く」といった拍を付けるために調剤薬局がやっていることで、実際のところ本当に英語を使う機会があるのか応募の際には注意する必要があります

今は薬剤師の人手不足のせいもあり、求人情報にこうした誇張が入り込むことが少なくありません。こうした誇張を見抜くためにも、できれば薬剤師の求人エージェントを上手に活用したいところです。

転職活動の注意点(企業の場合)

企業への転職活動で注意したいことは2点あります。

一つは、企業側が募集要項で挙げてるトーイックの点数をあまり絶対視しないことです。たとえば、ある企業で応募者にトーイック800点以上を要求しているとします。では、仮に750点の方がいるとしてこの方が採用される見込みはないかといえば、そんなことはありません。


確かに英語力はないよりあった方がいいですが、英語力が足りない代わりにCRCとしての経験が豊富であるとか、プロトコルの作成は数年経験しているなど、英語力以外の知識や経験があれば採用される見込みはあります。

つまり、採用担当者は応募者を英語力だけでなく総合的に判断しているので、英語力が多少足りなくてもあきらめる必要はありません(とはいえ、どんなに経験があっても最低限の英語力が必要な場合はあります)。この辺は会社によってさじ加減が違うので、転職支援会社の担当者に事前に相談した方がいいでしょう。





企業への転職活動で注意したい2点目は、企業によっては(特に外資系の会社では)英語で面接する会社があるということです。日本語での面接でさえ緊張して上手に話せないかもしれないのに、英語で面接するなんて絶対にムリ、と思う方もいるかもしれません。ですが、事前に準備すればある程度は対応できます。


まず、何の前触れもなく英語での面接が突然始まるということは、まずありません。「二次面接は英語で行いますので、事前に準備しておいてください」といったアナウンスがあるはずです。

この段階から、英語での面接での準備を始めればいいのです。とはいえ、「何を聞かれるか分からないのだから、準備のしようがない」と悲観的に考える方もいるかもしれません。


ですが、採用担当者が突拍子もないことを質問してくることはありません。「志望動機は何ですか?」「以前はどんな仕事をしていましたか?」「過去の経験を、うちの会社ではどんな形で活かせますか?」など、面接官が質問してきそうなことはある程度想像がつきます。それらを10個ほど(聞かれる可能性の高そうなものを)ピックアップします。


次に、それらの10個に対する英語での回答を用意します。回答は短文ではなく、30秒から2分くらいの一定量の回答を用意してください。これで、英語での面接にもある程度は対応できるはずです。


でも、用意していた回答以外の質問が来た場合はどうするの?


こんな風に疑問に思う方もいるかもしれません。ですが、10個もの英語での回答パターンを用意していれば、自分のことを英語で説明できる素地は出来上がっているはずです。多少想定外の質問が来ても、その回答パターンを組み合わせることである程度は対応ができます。


ちなみにこの準備法は英検1級の2次試験の勉強法でして、ある程度の英語力は必要とされますが、英語での面接でも落ち着いて対応できるはずです。


以上、企業への転職の際の注意点を挙げましたが、こうして転職活動の対策を自分一人の力で行うのは限界があります。できれば、薬剤師専門の転職支援会社の力を借りたいところです。

大手の会社であれば、担当のエージェントを付けてくれるので安心です。下記では、オススメの転職支援会社を紹介してますので、よかったら参考にしてください。



薬剤師の転職サイト、おすすめは?



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です