管理薬剤師とは?転職の注意点は?



薬剤師の役職として、「管理薬剤師」という肩書きを耳にする方も多いと思います。求人募集でも管理薬剤師の求人はよく見かけますし、一般の薬剤師より一段上の役職というイメージはあると思います。ですが、具体的にどんな仕事をしていて、どんな資格が必要か等をご存じでしょうか?

ここでは、管理薬剤師の仕事や転職にあたっての注意点などを紹介します。


管理薬剤師とは?

管理薬剤師とは、簡単に言うと、薬局や店舗などで現場を監督する責任者のことです。管理薬剤師の仕事は、大まかに言って、(1)スタッフの管理、(2)医薬品などの管理、の2つが挙げられます。ただ、具体的な仕事となると職場によってかなり違います(詳しくは後で説明します)。

管理薬剤師の勤務先は、調剤薬局や(調剤併設型の)ドラッグストアのほか、医薬品の製造・販売拠点も含まれます。つまり、医薬品卸の企業や製薬メーカーも管理薬剤師の勤務先になりえます。


ちなみにですが、病院に管理薬剤師は存在しません。薬事法でも病院への管理薬剤師の配置は求められていません。ただ、病院でも管理薬剤師の求人はあります。この点については、後で詳しく述べます。

管理薬剤師の勤務時間、勤務地について

管理薬剤師の勤務については、薬事法第8条に以下のような規定があります。

「その薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師のうちから薬局の管理者を指定してその薬局を実地に管理させなければならない。

その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない」



上の文言から分かることが2つあります。

管理薬剤師の勤務時間について明確な規定はありません。ですが、「実地に管理させ」という文言がある以上、管理薬剤師は週に40時間以上勤務することが原則必要とされています。つまり、管理薬剤師になれるのは正社員か、フルタイムで働くパートだけです。

派遣薬剤師や単発で働く薬剤師は、管理薬剤師になることができません。ただし、紹介予定派遣の薬剤師なら管理薬剤師になれるとされています。


もう一つは、勤務地についてです。「その薬局以外の場所で業として」とある通り、管理薬剤師は一つの薬局・店舗以外で働くことはできません。月~水はA店で、木~土はB店に働くといったことはできません。


管理薬剤師になるには?資格は?



先ほど、管理薬剤師は職場の管理者のようなものと説明しました。では、管理薬剤師になるのに何か資格はいるのでしょうか?また、どういった資質が要求されるのでしょうか?詳しく見ていきます。

管理薬剤師になる2つのパターン

結論から言うと、管理薬剤師になるのに資格はいりません。公務員の場合は管理職になるのに昇進試験に受かる必要がありますが、管理薬剤師になるのに試験もありません。ただ、3年以上の実務経験が必要とされています

管理薬剤師になるのは、以下の2パターンがあります。


<内部昇進>
これが一般的なパターンですが、職場で経験を積んで一般薬剤師から管理薬剤師に格上げするパターンです。職場で3年以上の実務経験を積んでからなるので、雇用主も安心して職場を任せることができます。

薬剤師の側からしても、身近で管理薬剤師の仕事を見ているので、それほど不安感なく昇進を受け入れられます。


<転職を機に管理薬剤師になる>
それまで一般薬剤師だったのが、転職を機に転職先で管理薬剤師になるパターンです。先ほども書いた通り3年以上の実務経験は必要ですから、前職でも調剤薬局なりドラッグストアなりで3年以上勤務していることが前提です。

同じ職種で3年以上の実務経験があるとはいえ、会社や店舗によって仕事の進め方は違います。内部昇進と違って、多少の不安感が伴うのがこのパターンです。


管理薬剤師の仕事内容・役割・年収は?



ここでは、管理薬剤師の仕事内容や役割を大まかに説明しました。以下では、より具体的に職場ごとの役割について説明します。また、年収についても説明していますが、職場によって開きがあるのでその点はご注意ください。

調剤薬局

調剤薬局での管理薬剤師の役割は2つです。

一つは、薬局にある医薬品の在庫管理・品質管理です。調剤薬局は、医薬品を患者に安定的に提供するという社会的な責任があります。そのため、在庫切れがないよう常に在庫管理に気を付ける必要があります。

また、近隣の薬局がある医薬品で在庫切れをしたときに、融通しあえるよう常に連絡を取り合う必要もあります。

医薬品によって温度や湿度に対してデリケートなものもあります。常に品質を一定に保つよう、温度設定などの環境を整えておく必要があります。これが、医薬品の品質管理です。


二つ目は、部下の薬剤師の管理・指導です。部下の薬剤師が調剤や薬歴管理をしっかり行っているか、服薬指導で患者とトラブルになっていないか、など管理・指導します。

職場が働きやすい職場になっていないか気を配り、職場がチームワークをもって働けるよう、一人ひとりのスタッフとコミュニケーションをしっかり取ります。


調剤薬局での管理薬剤師の年収ですが、年収550万から700万のレンジが多いようです。中には年収700万以上の年収の方もいますが、調剤薬局でこの年収をもらう方は少数派でしょう。

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病院

先ほども書いた通り、法的には病院に管理薬剤師を配置する義務はありません。ですが、病院薬剤師の求人で管理薬剤師を募集していることは少なくありません。

これは、病院内での現場責任者としての薬剤師を募集しているためです。では、病院内での現場責任者としての薬剤師には、どんな仕事があるのでしょうか?


一つは、医薬品の品質・在庫管理です。特に病院の規模によっては、管理している医薬品の種類や数もそれなりになりますので、気を使います。調剤薬局では扱わない注射薬があるのも、病院の特徴です。

二つ目は、部下の管理・指導です。部下がキチンと調剤を行えているか、他部署と円滑にコミュニケーションを取れているか管理・指導します。


ただ、上で挙げた二つはあくまで一般論で、管理職の立場でどんな仕事を割り振られるかは、やはり病院によって違います。病院での求人は、「薬剤部長」や「薬科長」などの肩書になることが多いはずです。

年収としては、500万から600万での求人が多いです。ですが、病院によってはこれ以上の年収を提示するところもあります。

<関連記事>調剤薬剤師から病院薬剤師への転職は大変?

ドラッグストア(調剤併設)



調剤併設型ドラッグストアの管理薬剤師は、調剤薬局の管理薬剤師と重複する部分もありますが、扱う品目が多い分、一層大変でもあります。仕事・役割は大きく言って二つです。


一つは、医薬品・日用品の管理業務です。調剤薬局のような医療用医薬品の管理はもちろんですが、ドラッグストアではOTCやサプリメント・健康食品・日用品の管理業務も発生します。

特に、サプリメントや健康食品では効果・効能をうたえませんので、ポップでそうした宣伝文句がないか、注意する必要があります。


二つ目は部下の管理・指導です。ただし、調剤薬局に較べて日用品の販売業務もあるため、部下の管理指導も多岐にわたることになります。バートや派遣スタッフの出入りも激しくなるため、スタッフのシフト管理も大事な仕事になってきます。


なお、ドラッグストアには管理薬剤師の他に、店長というポストもあるため上の業務を分担することもできます。

ただし、店舗によっては店長と管理薬剤師を兼任させているところもあるため、この場合は管理薬剤師(兼店長)に一層重い負担がかかることになります。


年収は600万から750万の求人が多く、場所によってはこれ以上の場合もあります。

管理薬剤師の年収として一番高いのがドラッグストアですが(企業は別として)、勤務時間が長いのと、求められる責任も広範囲に及ぶため、こうした負担に耐えられない方もいます

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企業

企業で管理薬剤師が勤務するケースもあります。勤務先として挙げられるのが、製薬メーカーや医薬品卸などです。企業での管理薬剤師の業務は、大きく言って3つです。


一つは、医薬品や従業員などの管理業務です。医薬品の管理はこれまでも説明した通り、医薬品の品質管理や在庫管理を指します。

従業員等の管理業務は、部下の薬剤師の管理・指導を含むのはもちろんですが、社内の営業担当に医薬品の製品情報を指導するといった、DI業務も含みます。


二つ目は、取引先や顧客への情報提供業務です。取引先から医薬品に関する問い合わせがあった場合に、回答する役目です。特に一般用医薬品を購入した個人客に対しては、医療機関への診療を勧めるケースもあります。


三つ目は、申請・報告・情報収集といった業務です。新薬の申請業務や、販売している医薬品の副作用報告、日々の業務で情報提供するために情報を収集する業務です。

回答の中には薬事法に関するものや、海外の事例を含む場合もあり、普段からの情報収集も欠かせません。

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上の3つを見てもらえればお分かりの通り、どれもデスクワークに分類される仕事で調剤薬局やドラッグストアの仕事とは大きく違っています。

管理薬剤師と一口に言っても、勤務先によって役割は変わってきますし、企業の管理薬剤師では「薬剤師としての実務経験」が身に付きにくいとされています。

年収は企業によって違いますが、400万から800万の幅におさまることが多いです。

<ここまでのまとめ>

  • 管理薬剤師になるのに資格はいらないが、3年の実務経験は必要
  • 管理薬剤師の仕事は医薬品の管理と、部下の管理指導。ただし職場によって内容は大きく異なる。
  • 年収は500~800万になることが多い。
  • 勤務先のなかでも、企業の管理薬剤師が業務内容が広範囲にわたる。

管理薬剤師になるメリット・デメリットは?



上では、管理薬剤師の仕事や役割について見てきました。以下では、管理薬剤師になることのメリット・デメリットと併せて見ていきましょう。

管理薬剤師になるメリット

<お給料が増える>
やはり一番大きいのはこれでしょう。管理薬剤師は手当として職場によって違いますが、月に2万から8万円貰えます。多いのは、3~5万です。年収に直すと、30万から100万程度は増えることになります。

ご存じの通り、薬剤師の年収は一定水準までいくと上がりづらくなります。より高い年収を希望するなら、管理薬剤師を目指すのも一つの手です。


<役職が上がる>
一般のサラリーマンであれば、年次が上がるごとに役職がつきます。部長代理だったり、主査だったり、係長といった役職ですが、薬剤師にはこういう役職がありません。

これを不満に思う薬剤師も、少なからずいます(特に男性薬剤師に多いです)。

そうした役職の少ない薬剤師職で、数少ない肩書が管理薬剤師です。金銭的なメリットよりも、こうした肩書にメリットを感じる薬剤師もいます。


<より大きな責任を任される>
サラリーマンにも言えることですが、責任が大きくなれば仕事の幅も広がり仕事が面白くなります。管理薬剤師になれば、一般薬剤師とは違う目線での仕事になるため、より仕事が面白くなります。

ただし、責任が大きくなった分、仕事を面白いと思えるかどうかは本人の性格や、職場の性質とも関係してきます。

管理薬剤師になるデメリットは?

<仕事の負担が重くなる>
デメリットの一つに挙げられるのが、業務負担が重くなることです。これまでの目の前の業務だけでよかったのが、部下の管理指導や対外的な折衝も増えるので、仕事の負担やストレスは自然と重くなります。

実は、上司に請われて管理薬剤師に昇進したものの、仕事の負担や家庭の事情で降格を申し出る薬剤師も少なくありません。お給料が増えるということは、それだけ負担も増えることなので、この点は注意する必要があります。


<「薬剤師」としての仕事が減る>
管理薬剤師は管理職ですので、どうしても管理・指導の比重が増えることになります。これまで現場で仕事のやりがいを感じていた方は、患者やお客さんとの接点が減ることに、仕事の意義を感じられなくなるケースもあります。


<残業代がつかなくなる>
管理薬剤師にあると手当はつきますが、管理職になるため残業代が出なくなる職場もあります。注意してほしいのは、手当によるプラス分と残業代が出なくなるマイナス分で、どちらが上かという問題です。

もしそれほど変わらないなら、管理薬剤師になる金銭的なメリットはなくなります。

転職組の方は分かりやすいでしょうが、内部昇進の方は分かりづらいでしょう。この場合、会社内ですでに内部昇進で管理薬剤師になった方に、お給料がどの程度変わったか聞いてみるとよいでしょう。


管理薬剤師への転職の注意点は?



ここでは、内部昇進ではなく、転職によって管理薬剤師になる方(もしくは、管理薬剤師として転職する方)への注意点を紹介したいと思います。

管理薬剤師の求人の特徴

下の表は、大手薬剤師転職サイトで紹介されている、職場別の正社員・パートの管理薬剤師の求人数です。

正社員求人 管理薬剤師求人 パート管理薬剤師
調剤薬局 23,987 2,256
9.4%
747
病院 3,767 149
4.0%
33
ドラッグストア 2,353 236
10.0%
178
企業 646 263
40.7%
25

まず一目見て分かるのは、企業の求人数の少なさです。企業の管理薬剤師は求人自体が少ないうえ、選考も厳しいため大変狭き門です。

病院の管理薬剤師の求人もかなり少ないですが、先ほど書いた通り、管理職としての求人募集であるためです。管理薬剤師の転職先として一番可能性があるのは、やはり調剤薬局です。

転職にあたっての注意点

以下、実際に管理薬剤師として転職するにあたって、気を付けたい点を挙げます。

<一人薬剤師の職場に注意>
これまでの説明では、「管理薬剤師には部下の薬剤師がいる」という前提で書いてきました。ですが、部下の薬剤師が全くいない職場もありえます。

つまり、一人薬剤師の職場です。調剤助手や事務スタッフはいるため、店舗で自分一人ということはないでしょうが、管理薬剤師で一人薬剤師というのは相当なストレスです。

すでに管理薬剤師としての経験があるのでないなら、転職先として選ぶのは止めた方がよいかもしれません。


<給料は増えるが、その分責任や負担も重くなる>
前職までに同じ職場での3年以上の実務経験があれば、一般薬剤師から管理薬剤師としての転職も可能です。お給料がアップするケースも多いでしょう。

ですが先ほども書いた通り、お給料が増えるということは、それだけ責任や負担も重くなるということです。

転職にあたって、自分が仕事に何を求めるのか、仕事と家庭(プライベート)の関係をどう取るのか見つめ直してもよいかもしれません。


<病院での求人は管理職>
上でも書いた通り、病院での管理薬剤師の求人は管理職(薬剤部長、薬科長など)としての求人です。どういった職務権限になるかは病院によって全く違うはずなので、面接の際にはよく確認することをオススメします。


<同じ職場でも、謙虚な気持ちで臨む>
管理薬剤師として転職する以上、部下にとっては上司になりますが、その職場からすれば「新人」です。いくら業務に精通しているといっても、職場の独自ルールでは分からないことも多いでしょう。

職場内に溶け込むためには、謙虚さを忘れないことが大事です。


以上の点に注意して、管理薬剤師としての転職活動を行うとよいでしょう。なお、下記でオススメしている薬剤師専門の転職サイトを活用すると、より効率的な転職活動ができます。是非活用してください。

<管理薬剤師のまとめ>

  • 管理薬剤師になることで年収は増えるが、責任・負担も重くなる
  • 増える手当は月額3~5万が多い。ただし残業代はなくなるので要注意。
  • 年収は500~800万になることが多い。
  • 管理薬剤師の求人でも一人薬剤師の職場はありえる。転職先はよく調べること。

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