在宅療養支援薬剤師の仕事と役割

在宅療養支援薬剤師

医薬分業が急速に進歩するなか、薬剤師が果たす役割の細分化も進んでいます。

その一つが、少子超高齢化社会に対応する在宅医療や在宅療養です。

在宅の患者さんを支援する医師・看護師に加えて、2013年には薬剤師が在宅支援を行なう、在宅療養支援薬剤師の認定制度も設けられました。

ここでは在宅療養支援薬剤師について詳しく紹介しています。

在宅医療や在宅療養に関心のある方、薬剤師として在宅の患者さんを支援したいという方、新たなキャリアの道を探している方は必見です!


在宅療養支援薬剤師とは(仕事や役割)



病気やケガの患者さんでも全員が病院に入院するわけではありません。

最近では患者さん本人の希望や家庭の事情などで、在宅療養(自宅や施設での療養)を選択するケースが増えています。

住み慣れた家庭や親しい仲間のいる施設での療養は、病院内にはない別の面でのメリットがあります。

そんな患者さんの療養を、薬学や薬物療法の専門家としての立場からサポートするのが、「在宅療養支援薬剤師」です。

以下では、在宅療養支援薬剤師の仕事や役割を紹介します。

患者さんからの情報収集

医師や看護師とともに在宅患者さんを訪問し、顔合わせをして薬に関する聞き取りや相談に対応します。

これまでの薬歴、薬剤管理の状況などを把握するとともに、副作用や飲みにくい薬の有無についての情報収集も併せて行ないます。

また担当医師や看護師から病歴や現在の病状、身体状況、介護状況などの情報収集も必要です。


これらの情報をもとに、医師が処方設計する際に最適な医薬品や用法・用量などの提案をします。

患者さんの便宜を考えた一包化や粉砕といった提案をするのも薬剤師の役割です。

薬学的管理指導書の作成

在宅患者さんの訪問業務を始める前に、薬学的管理指導書の作成を行ないます。

書式や内容などに決まりはなく、勤務先の様式に合わせるなどの方法で作成を行なうのが一般的です。


標準的な内容としては、患者氏名・医師からの情報(診断名や既往歴)・患者の心身の特性・各種注意点(薬剤の管理方法、副作用、ADLへの影響、相互作用等)が挙げられます。

ほかにも訪問回数(日時や曜日)、服薬管理者(患者や家族等)、調剤携帯(分包、別包、散剤、粉砕等)、併用薬などを記載する場合もあります。

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処方箋の受付けと調剤

処方箋を受付けたら、内容を鑑査して調剤を行ないます。

患者さんから収集した情報、医師・看護師からの情報、薬学的管理指導書を参考にミスのない調剤が不可欠です。

一包化や分包、粉砕など薬剤の形態についても必ず確認します。

勤務先によっては、注射剤や点滴剤の製剤を行なう場合もあります。

また抗がん剤、麻薬といった知識が必要な調剤を担当する場合もあり、常に学習する姿勢が必要な仕事です。

<関連記事>:薬剤師の調剤・処方ミスについて

在宅の患者さんを訪問

患者さんの自宅や入居中の施設を訪れ、調剤した薬を届けて服薬指導を行ないます。

持参した薬の説明や服用に関する指導をするとともに、残薬の確認をして飲み忘れや副作用などのリサーチも必要です。

飲みにくい薬の有無などを確認し、問題があれば改善案を考えて解決方法を見つけます。

併用薬やサプリメントといった、相互作用についての質問に答えるなど患者さんの疑問に対応するのも、薬剤師の役割です。

訪問情報を医療スタッフに提供

患者さんを訪問した結果を医師や看護師、ケアマネージャーなどのスタッフにフィードバックします。

勤務先によっては報告書を作成・提出したり、医療チームでミーティングを行なう場合もあります。

多職種のスタッフとの意見交換により、問題点の洗い直しや改善点を見つけていきます。

薬剤師は薬学と薬物療法の専門家としての立場から、意見を表明したり提案を行なう役割を担っています。


在宅療養支援薬剤師に必要なスキル



在宅療養支援を担当する薬剤師は、一般的な薬剤師のスキルに加えて、次のようなスキルも必要になります。

コミュニケーション能力

医師、看護師、ケアマネージャーなどのスタッフと連携しつつ、仕事を進める在宅療養支援薬剤師にはコミュニケーションスキルが不可欠です。

相手の主張や考え方を理解し、自分の提案を実現するためには円滑なコミュニケーションが必要になるからです。

また在宅療養中の患者さんを支援するためにも、患者さん本人や同居者とのコミュニケーションを円滑に進める必要があります

コミュニケーションには相手を理解し思いやる気持ちが大切ですが、それを現実の仕事に活かせる技術(スキル)と能力が伴わなくては成功しません。

<関連記事>:薬剤師のコミュニケーション能力は、ますます大事になる!

総合的な医療の知識と技術

在宅療養支援薬剤師は医師の処方設計に、薬物療法の専門家の立場から提案を行ないます。

その際、疾患や治療に関する基礎知識も必要になります。

医師の処方方針を理解したうえで、処方に関する提案を行なわなければならないからです。


在宅の患者さんを訪問して業務を行なうという観点からは、バイタルサイン(血圧や脈拍など)のチェックの仕方や判断のための知識と技術も求められます。

医師や看護師がいない状態で患者さんと相対するわけで、こうした知識と技術は現場で欠かせないものとなります。

在宅療養と介護の知識と技術

基本的な知識として、在宅療養や介護に関する総合的な知識も必要です。

薬剤師は直接治療や介護を行うわけではないものの、スタッフと意見交換したり提案を行なうためには基本的な知識がなくては上手くいきません。


在宅療養支援薬剤師になるには



在宅療養支援薬剤師は、資格がなくてもなることができます。

主な求人先は病院やクリニックですが、最近では調剤薬局やドラッグストアでも、薬剤師の在宅業務に力をいれるケースが増えてきました。

そこから一歩進めて、本格的に在宅療養関連の仕事をしたいなら、在宅療養支援薬剤師の認定資格を取得するという方法があります。

在宅療養支援薬剤師認定資格とは?

一般社団法人 日本在宅薬学会では「在宅療養支援認定薬剤師制度」を設けています。

この制度は在宅医療に関する薬剤師としての知識や技能を習得し、要介護高齢者やがんの在宅患者さんに良質な医療を提供することを目的としたものです。

認定資格は日本在宅薬学会に入会したうえ、以下のような条件を満たした段階で認定試験に合格すれば取得できます。

  • 薬剤師免許を有し3年以上の実務経験がある
  • 所定の研修講座で35単位以上を取得している
  • 5事例以上の在宅業務の実践があり報告できる
  • 日本在宅薬学会が主催する学術大会に参加している 他

我が国は高齢化社会から超高齢化社会へ進みつつあります。

今後ますます家庭や高齢者施設で療養中の患者さんが増えると考えられ、そうした患者さんの支援対策は急務となっています。

これから需要が伸びるといわれている在宅療養支援薬剤師として、在宅患者さんをサポートする仕事でキャリアアップを考えてみてはいかがでしょうか。


薬剤師の方でキャリアアップできる転職先を探しているなら、薬剤師を対象にした転職エージェントに相談するという方法があります。

薬剤師の転職に詳しいリクルーターへの相談も可能です。

キャリアアップのための転職で後悔しないためにも、ぜひ、こうした転職支援サイトを賢く活用してください。

<この記事のまとめ>

  • 家庭や施設で療養中の患者さんをサポートする仕事
  • 自宅を訪問して患者さんから情報収集をする
  • 医師の処方に基づいた調剤薬を患者さんに届ける
  • 服薬指導、薬剤管理、副作用への対応などを行なう
  • 医師の処方設計に薬剤師として最適な提案をする
  • 主な求人先は病院やクリニック、調剤薬局など

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